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賃料支払滞納後に滞納を解消しても解除は有効とした地裁判決紹介

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令和 8年 1月31日(土):初稿
○「保証会社代位弁済があっても本人不払を理由に解除認めた地裁判決紹介」の続きで、一時賃料支払を滞納した場合、その後に滞納額全額を支払ったとしても、原被告間の信頼関係は破壊されているとして解除を認めた令和6年12月20日東京地裁判決(LEX/DB)全文を紹介します。

○賃貸人原告は、被告が賃料等を、2024年4月までに金39万7045円を滞納したので、2024年4月18日付内容証明郵便で未払賃料等合計金39万7045円全額を上記内容証明郵便到達後1週間以内に支払うよう催告し、上記期間内に全額の支払いがない場合は、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をし、催告期間内に支払がないとして明渡を求めました。

○被告は、滞納額は3か月分を僅かに上回る程度で、同年9月分及び10月分の滞納については月内に解消され、同年12月には1か月分を上回る17万円を支払い、保証会社とも協議するなど、被告は滞納の解消に向けた真摯な努力をしているので、原告による本件賃貸借契約の解除の時点では、原告と被告との信頼関係は未だ破壊には至っていないと主張しました。

○これに対し判決は、賃貸期間の開始後間もない同年9月分から滞納が生じ、その後も不定期かつ不十分な支払が繰り返され、令和6年4月20日時点では賃料等の滞納額が3か月分を超える39万7045円に至っており、賃料支払を2か月分相当額以上怠ったときは、原告は催告を要せずに契約を解除することができるとの約款があり、被告は滞納額の支払の催告を受けた後も催告期間内にその支払をしなかったのであるから、被告の債務不履行が軽微であったとも、原告と被告との信頼関係が破壊され、原告による解除の効力は否定されないとしました。

○所定の賃料支払滞納が生じた場合、その後賃料支払滞納を解消したとしても、信頼関係は破壊されると評価した判例であり、賃貸人側としては当然の判決です。

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主   文
1 被告は、原告に対し、別紙物件目録記載の建物を明け渡せ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は、仮に執行することができる。

事実及び理由
第1 請求

 主文同旨

第2 当事者の主張
1 原告の主張

(1)別紙「請求の原因」に記載のとおり(同別紙中の略語は、以下においても用いる。)。このうち未払賃料等の内訳は、別紙「準備書面1」に記載のとおり。

(2)被告は、令和5年9月から本件賃貸借契約に基づく賃料及び共益費(以下「賃料等」という。)を滞納するようになり、令和6年3月27日を最後にその支払をしていない。被告は、原告が解除の意思表示をした時点で、半年以上もの長期間にわたり、原告に対して滞納に至る経緯や今後の見通し等について何ら説明することなく、賃料等の滞納を続けており、真摯な対応をしてきたとは到底いえない。
 したがって、原告と被告との信頼関係は破壊されていたというべきであり、原告がした本件賃貸借契約の解除は有効である。

2 被告の主張
(1)別紙「請求の原因」のうち、1項、2項、3項(第2文)及び4項は認め、3項(第1文)は不知。

(2)原告が本件賃貸借契約の解除の意思表示をした令和6年4月20日時点において、賃料等の滞納額は3か月分をわずかに上回る程度であった。これは、被告が令和5年10月に虫垂炎で10日間入院して収入が途絶えたことに、収入の季節変動等の要素が加わり、やむなく滞納が続いてしまったものである。また、同年9月分及び10月分の滞納についてはそれぞれ月内にいったん解消されているし、同年12月には1か月分を上回る17万円を支払い、保証会社とも協議するなど、被告は滞納の解消に向けた真摯な努力をしていた。
 これらの事情からすれば、原告による本件賃貸借契約の解除の時点では、原告と被告との信頼関係は未だ破壊には至っていないから、同解除は効力を有しない。

第3 当裁判所の判断
1 別紙「請求の原因」のうち、1項、2項、3項(第2文)及び4項は、当事者間に争いがない。

2 本件賃貸借契約に基づく令和5年9月分以降の賃料等(口座振替手数料及び追加保証料を含む。)の発生及び支払の経緯につき、原告は別紙「準備書面1」のとおり主張するところ、被告は、これを特に争わず、これと異なる弁済等の事実の主張立証もしないから、原告の主張のとおり認めることができ、これによれば、令和6年4月20日時点での賃料等の滞納額は39万7045円であったものと認められる。


(1)そして、原告は、被告に対し、令和6年4月20日、上記滞納額を1週間以内に支払うように催告し、その期間内に支払がされない場合には本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示をしたが、被告はその催告期間内に賃料等の支払をしなかったものである(前記1)。

(2)この点につき、被告は、原告と被告との信頼関係は未だ破壊には至っていなかったから、原告による解除は効力を有しない旨主張する。

 しかし、本件賃貸借契約に基づく賃料等の支払の経緯(前記2)をみると、契約上は毎月27日に翌月分の賃料等を口座引き落としの方法により支払うこととされていたにもかかわらず、賃貸期間の開始(令和5年7月26日)後間もない同年9月分から滞納が生じ、その後も不定期かつ不十分な支払が繰り返され、令和6年4月20日時点では賃料等の滞納額が3か月分を超える39万7045円に至っていたのであり(なお、本件賃貸借契約上、被告が債務の支払を賃料の2か月分相当額以上怠ったときは、原告は催告を要せずに契約を解除することができるものとされている(14条1号。甲1)。)、しかも、被告は同日に滞納額の支払の催告を受けた後も催告期間内にその支払をしなかったのであるから、被告の債務不履行が軽微であったとも、原告と被告との信頼関係が破壊されていなかったともいえず、原告による解除の効力は否定されないものというべきである。

 被告は、入院による収入の途絶や収入の季節変動等により、やむなく滞納が続いた旨主張するが、仮に被告の収入が減少する事情があったとしても、被告が原告に対してそのような事情を説明し、滞納に係る了解を得ていたとはうかがわれないから、信頼関係の破壊を否定すべきものとはいえない。被告が主張するその他の事情も、以上の判断を左右するに足りない。

(3)したがって、本件賃貸借契約は、原告による解除の意思表示(前記(1))により、その催告期間の経過をもって、解除されたものと認められる。

4 以上によれば、原告は、被告に対し、本件賃貸借契約の終了に基づき、本件建物の明渡しを求めることができる。
 よって、原告の請求は理由があるから、これを認容することとし、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第37部
裁判官 貝阿彌亮

別紙 物件目録
(略)
以上:2,809文字

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