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建物建築請負人に建替費用相当額損害等賠償支払を命じた大阪地裁判決紹介2

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平成29年11月10日(金):初稿
○「建物建築請負人に建替費用相当額損害等賠償支払を命じた大阪地裁判決紹介1」の続きで理由文の後半です。
昭和59年12月26日大阪地裁判決(判タ548号181頁)理由文前半で、以下の通り、瑕疵のオンパレードを列挙しています。

・本件建物の土工事及び基礎底盤には、いずれも基礎の構造耐力に影響を及ぼす欠陥があると認められるから、土工事及び基礎底盤工事の瑕疵がある
・通し柱に、新築建物に不相当な腐朽部分及び入り皮のある材が使用されたことにより、本件建物の構造耐力に影響を及ぼすものと認められるから、通し柱工事の瑕疵がある
・人の目につきやすい和室の管柱に新築建物に不相当な美匠上見苦しい材が使用されているのであるから、管柱工事の瑕疵がある
・新築建物に不相当な不良材が使用されているのであるから小屋裏の梁材工事に瑕疵がある
・基準法施行令に違反する筋かい材の設計・施行がなされているのであるから、筋かい材の設計及び施行の瑕疵がある
・木材の品質において約定より劣るものが採用されているのであるから、部材の施工に瑕疵がある
・瑕疵(3)の(イ)(ロ)(ト)は、本件請負契約に違反し、瑕疵(3)の(ニ)は建築基準法施行令46条2項に、同(3)の(ホ)は同施行令47条1項に、同(3)の(ヘ)は同施行令43条5項に違反しており、瑕疵(3)の(チ)の点も、建物の施工における基本的な欠陥というべきであるから、本件建築工事の瑕疵にあたる
・構造計算上の安全性を考慮して間仕切り壁の設計をなさなかつた点に間仕切りに壁設計の瑕疵がある
・本件床下の地盤高工事については、敷地の衛生面に関し、基本的な欠陥があると認められるから、床下地盤高工事の瑕疵がある
・天井裏の電気配線の接続結線部分がすべて露出状態のままとなつていることから電気配線の接続工事に瑕疵がある
・屋外排水管の施設についての基本的な欠陥というべきであるから、本件建築工事の瑕疵にあたる


○よくぞ、ここまで瑕疵のある建物を建築したものだと、感嘆する程の瑕疵のオンパレードです。その結果、「本件建築工事の瑕疵を修補するためには、結局、本件建物を建て替えるのと同程度の規模の工事を必要とする」と認定され、建物の取毀し再築期間中の「代替建物の賃料」、「引越し費用」、「鑑定調査費用」、「慰謝料」、「弁護士費用」を加えて、1545万円の支払が命じられました。

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三 被告の責任
(一) 前記認定のとおり、被告は、昭和54年12月23日、本件請負工事を完了し、同日、本件建物を引渡したが、本件請負契約に基づく本件建物の設計、施工に関して前記の瑕疵が認められるのであるから、被告は瑕疵の修補に代わる損害賠償責任を負担すべきである。

 さらに証人大塚孝雄の証言によれば、被告は、本件建物の設計監理及び施工について、その従業員である一級建築士大塚孝雄をもつてその任にあたらせていたことを認めることができる。後記認定のとおり、前記の本件建物の瑕疵は木造建築物として重大かつ基礎的なものであるから、右大塚は本件建物の設計監理及び施工に関し、その専門的知識と経験に基づいて適切な指導監督をなすべき義務を有するにもかかわらず、この義務に違背したものといわざるをえず、その点において過失がある。よつて右大塚の使用者たる被告は、その事業の執行につき、原告に加えた損害を賠償する責に任ずべきである。

(二) 示談契約の成立
 被告は、本件建物の瑕疵のうち、通し柱に腐朽材を使用した点(瑕(2)の(イ))については、被告が126万9100円相当の門塀等の新設工事を賠償として施工することにより、原被告間に示談契約が成立した旨主張する。
 証人大塚孝雄、同速川岩雄の各証言によれば、被告が前記の通し柱の腐朽をめぐる原被告間の紛争の際、被告により、約100万円程度を要する門塀、照明器具、内装材等のグレードアップの工事がなされ、右工事費用は、本件請負代金額に含まれていないことを認めることができるが、右認定の事実のみによつては、通し柱に腐朽材を使用した点について、原被告間に示談契約が成立したものと推認することはできず、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。被告の右抗弁は理由がない。

四 原告の損害
(一) 修補の内容

 本件建物には、前記認定のとおり、本件請負契約に基づく設計、施工に関して、瑕疵が存在する。
 そして、前記認定事実、〈証拠〉によれば、本件建物には、その基本的、構造的部分に重大な瑕疵があること、特に基礎底盤、構造の仕口、通し柱の瑕疵等について、建築基準法、同施行令に定められている構造耐力を維持するための修補をするには、本件建物をその当該工事時点まで戻す必要があり、そのためには、本件建物の基礎部分、内外装等を一旦撤去する必要があること、新築建物を前提とすれば、住居としての美匠上も一部補修をなすことではまかなえないし、一旦、軸組みに組みこまれた木材は、それ自体欠陥のない木材でも一種の変形をきたしているから、当該内外装材をそのまま使用するためには、かえつて多額の費用を必要とし、その他経費上も、個々の部分的な補修より新規に建て替えた方が経済的であること、したがつて、本件建築工事の瑕疵を修補するためには、結局、本件建物を建て替えるのと同程度の規模の工事を必要とすることが認められ、〈証拠〉中、右認定に反する部分は前掲証拠と対比して信用できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はない。

 被告は、本件建物は、構造計算上、安全性に支障がないから、個別に修補補強すれば足りる旨主張し、〈証拠〉によれば、構造計算上、基礎断面及び柱は、現況において特に支障があるものでないこと、換気孔部のひび割れは収縮クラックと思われ、特に支障はないこと、火打梁、火打土台、耐力壁を新設し、その他仕口等の不備な部分を補強すれば、構造計算上、現行基準上の耐力は確保できるものであることが認められる。

 しかし、建物の構造上の安全性とは、単に計算上の安全値をいうものではなく、前記認定にかかる資材の不均質や作業工程上の瑕疵等諸々の要因によつて惹起される危険性をも充分考慮に入れたうえで、建物が本来備えているべき機能に支障を来すことがないと考えられる程度の安全域をいうものでなければならないのであるから、仮に、前記諸要因を無視してなされた乙第1、2号証の構造耐力計算の過程に誤りがなく、基礎断面、柱が現況において特に支障があるものではないとの結論が得られたとしても、これをもつて本件建物が安全であるということはできないし、右構造計算自体、既に火打梁、耐力壁の新設、仕口等の不備な部分を補強することを前提として計算されているのであるから、被告の右主張は採用できない。

(二) 損害額の算定
(1) 建替え費用

〈証拠〉によれば、原告は、昭和56年10月20日当時における本件建物を建て替えるのと同程度の規模の補修工事をするには、本件建物解体工事費60万0100円、新規建築工事費973万7673円、諸経費176万5617円、合計1210万円(万円未満切捨て)の費用を要することが認められ、原告が、被告に対し、瑕疵の修補に代わる損害賠償請求をした昭和56年6月3日当時においても同程度の費用を要したものと推認することができる。

 なお、前記認定のとおり、本件請負契約は、原告が被告との間で、本件建築工事費用として当初の請負代金額1108万円から減額された1100万6410円の請負代金で本件建築工事を注文することにより成立したものであることが認められるから、原告は被告に対し、本件建築工事を注文することによつて、1108万円相当の価額を有する建物を建築して取得する意思であつたものと推認でき、本件建物が前記認定の瑕疵のない建物として完成された場合には、少なくとも1108万円相当の価値を有する建物であつたものということができる。

 そうすると,先に認定した瑕疵の修補費用1210万円は、瑕疵のない本件建物の価額相当の1108万円を超えることになる。しかし、本件建物の修補の内容は、前記のとおり、本件建物を建て替えるのと同程度の規模のものを要するのであるから、修補費用としては、建て替え費用1150万3290円のほかに、建物の取り毀し費用60万0100円が含まれているものである。又、昭和54年12月の本件建物の完成時から瑕疵の修補に代わる損害賠償請求をしたことが記録上明らかな昭和56年6月3日までの間において、建築資材、人件費等が値上がりしているものと容易に推認できるのであるから、他に建て替え後の建物が、瑕疵のない本件建物の価値を大幅に上回る等の特段の事情の認められない本件においては、前記認定の1210万円をもつて、瑕疵の修補に代わる損害賠償額と認めるのが相当である。

(2) 代替建物の賃料
〈証拠〉によれば、原告は、本件建物の建て替え期間中、代替建物に入居せざるを得ないことになること、本件建物と同等の建物の賃料相当額は1か月10万円を下らないこと、本件建物の取毀し再築には、少なくとも4か月間を要することが認められる。従つて、原告は、取毀し再築期間中、本件建物に相当する建物の賃料として、40万円の負担をすることになり、同額の損害を受けることになる。

(3) 引越し費用
 弁論の全趣旨によれば、原告は、本件建物の取り毀し再築前及び再築後に2回にわたり、代替建物との間で引越しをしなければならないこと、引越しには少なくとも1回につき10万円を要することが認められるから、原告は引越し費用として20万円の負担を余儀なくされ、同額の損害を蒙ることになる。

(4) 鑑定調査費用
〈証拠〉によれば、原告は、本件建物の建築工事の設計施工に関する瑕疵についての資料を収集するため、建築専門家による鑑定、調査を必要としたことから、一級建築士岩永健一に対して、本件建物の欠陥部分、本件建物の補修工事の内容及びその費用等について、調査、鑑定を依頼し、鑑定料として55万円を支出した事実を認めることができる。そして、前記認定のような本件請負工事の瑕疵の内容、程度、その判定の困難性等を合わせて考えると、原告が支出した右鑑定料55万円は、本件請負工事の瑕疵と相当因果関係にある損害と認めるのが相当である。

(5) 慰謝料
〈証拠〉によれば、原告は、念願の自宅を新築したものの、建築途中から通し柱の腐朽をめぐる紛争に悩まされ、建築後も前記認定の数多くの瑕疵の存在が判明し、大きな打撃を受けたことが認められる。そして瑕疵の内容、程度、契約及び工事の経緯等一切の事情を総合し、原告に生じた算定困難な諸々の損害をも含めて考えれば、その額は80万円と考えるのが相当である。

(6) 弁護士費用
 本件弁論の全趣旨によれば、原告は、本件訴訟の追行を原告訴訟代理人に委任し、相当額の費用、報酬の支払を約したことを認めることができる。そして、被告が瑕疵担保責任のほか、不法行為責任を負担することは前認定のとおりである。本件事案の内容、損害額その他弁論の全趣旨を考慮し、被告が負うべき相当因果関係にある原告の弁護士費用は140万円とするのが相当である。

〈以下、省略〉

(福永政彦 森宏司 神山隆一)

物件目録
徳島県○○郡○○町○○1番地9
家屋番号 同所一番69
木造スレート葺二階建居宅
床面積 一階 74・11平方メートル
二階 28・98平方メートル
以上:4,705文字

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