平成20年 6月18日(水):初稿 |
○最近、HP作成業者からHP作成代金請求を依頼された弁護士から、HP作成代金請求についての判例照会を受けましたので、私が担当したHP作成代金200万円の請求事件をご紹介します。 ○この事件では、肝心の代金200万円でのHP作成契約書がなく、HP作成注文主からは200万円もの大金でHP作成を依頼したことはなく、依頼したとしてもその代金は精々20万円であり、200万円での見積書、納品書、請求書のいずれもも見たこともないと否認され、証拠は圧倒的に不利でした。 ○しかし、裁判所は200万円でのHP作成契約を認め、相手方に対し金200万円の支払を命じました。桐の一レコード4000文字の制限上、判例全文を3コンテンツにに分けて紹介し、後日、内容をご説明します。 平成19年4月26日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 平成年18(ワ)第662号請負代金請求事件 口頭弁論終結日 平成19年2月27日 判決 宮城県○○市 原告 甲一株式会社 同代表者代表取締役 甲野太郎 同訴訟代理人弁護士 小松亀- 宮城県○○市 被告 乙一出版株式会社 同代表者代表取締役 乙野花子 同訴訟代理人弁護士 ○○○○ 主文 1 被告は,原告に対し,200万円及びこれに対する平成17年3月21日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文1,2項と同旨 2 仮執行宣言 第2 事案の概要 本件は,原告が,被告との間のホームページ制作請負契約に基づき,被告に対し,請負代金200万円及びこれに対する商事法定利率年6分の割合による遅延損害金(起算日は完成引渡し日の翌日)の支払を求めた事案である。 1 争いのない事実 (1)原告は,コンピュータソフト開発等を,被告は印刷出版等を業とする会社である。 (2)被告は,平成17年2,3月ころ,原告に対し,被告のパソコン及びモバイル版ホームページの制作一式を注文し,原告は,これを承諾した(以下,この契約を「本件請負契約」,制作対象を「本件ホームページ」という。)。 (3)原告は,被告に対し,完成段階に近い本件ホームページを携帯電話の画面から閲覧できる状態にし,修正箇所を照会した。 2 争点及び当事者の主張 (1)原告と被告は本件請負契約の代金を200万円と合意したか(争点(1)) (原告の主張) ア 原告は,平成17年2月24日、被告に対し,258万8250円の見積書及び金額欄白地の契約書を提出し,同月25日,被告との間で,ロ頭により,本件請負契約の代金を200万円と合意した。また,原告は,同日、被告に対し,210万円(ただし,10万円を値引きし200万円との記載もある。)の見積書を送付し,同年3月上旬,被告へ,金額欄を210万円と補充した契約書を持参した。 イ 原告は,被告から受領したデータを画像ファイル等のデータに返還したりモバイル用のファイルに変換したりするための大量な作業を実施し,さらに,モバイル版の作成を丙野次郎(以下「丙野」という。)に代金56万2930 円で下請けに出して完成させ,同年5月30日までにこの代金を支払った。 (被告の主張) ア 被告は,原告の営業部長丁野一郎(以下「丁野」という。)から,あらかじめデジタル化した情報の提供を受けるのであれば20万円ほどで本件ホームページが制作できると聞いており,代金は20万円程度と考えて本件請負契約を結んだ。これに基づき,被告は,原告に対し,デジタル化した情報を提供した。被告は,原告から見積書や契約書等を受領したことは一度もない。原告の主張する金額欄白地の契約書は,原告が先に被告から預かった写真等を被告へ返還した際に同封されていたに過ぎず,被告はこれに気付いていなかった。 イ 被告は,他の業者から,デジタル化した情報を提供してホームページ制作を依頼した場合の代金は20万円ないし30万円であると聞いていた。 (2) 原告は本件ホームページを完成し被告へ引き渡したか(争点(2)) (原告の主張) ア 原告は,平成17年3月20日までに本件ホームページを完成させ,これを被告の指定するプロバイダのURLにアップロードする方法で被告へ引き渡した。 イ 原告は,同日,被告に対し,納品書と200万円の請求書を送付した。 (被告の主張) ア 原告が被告に閲覧させたものは原告のホームページ上にあり,文字がバラバラになっていたり,イラストが指定の順序に出ない不備があった。原告は,これらの修正に応じなかった。 被告は,平成17年4月13日、原告に対し,修正を依頼したが,原告は,修正できないと回答してきた。 イ 被告は,原告から 平成17年3月20日付けの納品書や請求書の送付を受けたことはない。 以上:1,952文字
|