平成19年 5月22日(火):初稿 |
○過払い金に関する2つの判例についてニュース報道を備忘録として残します。この判例に関する私の考えは後日、記載します。 札幌高裁:「グレーゾーン金利」を「架空請求」と認定 利息制限法を上回る消費者金融業者の「グレーゾーン金利」利息請求を巡り、石狩市の女性が大手消費者金融「CFJ」(本社・東京都品川区)を相手取り、過払い金など約360万円の返還などを求めた民事訴訟の控訴審判決が26日、札幌高裁であった。伊藤紘基裁判長は「グレーゾーン金利による請求は、不法な架空請求に当たる」とする全国初の判決を出し、同社に過払い分約280万円や慰謝料など計約330万円の支払いを命じた。 訴えによると、女性は87年6月~05年9月の間、同社から借金した。女性側は昨年2月、「CFJ側は支払い義務がないことを告げずに利息を受け取り、不法行為が成立する」として札幌地裁に提訴。同社側は、グレーゾーン金利の根拠として出資法が定める上限金利(29・2%)を挙げ、「グレーゾーン金利は監督官庁も容認していた」と反論していた。1審は同社に約280万円の支払いを命じ、双方が控訴していた。 グレーゾーン金利の利息について、伊藤裁判長は「(双方の合意などの)要件を備えた場合にのみ受領できるが、CFJ側は要件を満たしたかについて立証していない」として不当請求と認定。「元本がなくなった後は、存在しない債務にかかる利息なので、架空請求として不法行為を構成する」と述べた。 グレーゾーン金利は昨年12月、貸金業規制法などの改正で09年末をめどに廃止されることが決まっている。原告代理人の宮原一東弁護士は「架空請求と判断され、多重債務者の苦しみが裁判所に理解してもらえたことに大きな意義がある」とコメント。高金利問題に詳しい辰巳裕規・アイフル被害対策全国会議事務局長(弁護士)は「利息制限法で計算すれば過払いであるにもかかわらず、それを秘密にして請求する行為を架空請求と断じた判決は初めて。非常に画期的だ」と話している。【真野森作】 毎日新聞 2007年4月28日 東京朝刊 <過払い金>残債務へ充当、例外的に可能 最高裁が初判断 貸金業者から2回借り入れをして、一方で過払い金が生じ、もう一方で債務が残った場合に、両者を別々に計算せず、借り手に有利なように過払い金を残債務へ充当できるかが争われた訴訟の判決が13日、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)であった。同小法廷は「継続的な貸し付けを予定した基本契約がなくても、最初から2回目以降の融資が想定されていたような場合は、例外的に充当が認められる」との初判断を示した。同種訴訟で借り手に有利な影響を与える可能性が出てきた。 一方で判決は、原告については充当を認めた2審判決を破棄し、審理を広島高裁に差し戻した。判例は基本契約がある場合に限って充当を認めていたが、今回は基本契約はなかった。差し戻し後に、例外的に充当が認められるかが改めて審理される。 原告は業者から利息制限法の上限を超える金利(年約40%)で93年に300万円、98年に100万円を借り入れ、03年まで返済を継続。04年に過払い金返還を求めた。 1審は充当を認めず二つの融資を別々に計算し、最初の融資で約430万円の過払い金が発生し、2回目は約90万円の残債務があると認定。差し引き約340万円の返還を業者側に命じた。だが、2審は充当を認め、返還金額を約415万円に増やした。 また、判決は過払い金返還の際に業者が利息を支払う場合は利率を5%とする初判断も示した。【木戸哲】 最終更新:2月13日13時21分 2月13日12時46分配信 毎日新聞 以上:1,508文字
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