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賃料値上げ合意の効力

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平成17年 9月 1日(木):初稿
○賃貸借の相談で最も多いのは賃料を長期間支払わないので追い出して欲しいと言うものですが、貸主からは賃料を上げたい、借主からは賃料を下げて貰いたいと言う相談も多くあります。

○少し前までは、3年ごとに賃料を増額することを条件に貸したのに守って貰えないと言う相談も多くありました。契約条項では、「本件賃貸借契約は賃料は3年ごとに改定するものとし、改訂時には最低5%以上増額する。」というようなものがあります。

○貸主の立場からは3年ごとに必ず賃料を5%ずつ値上げすることを条件に貸したのだから、その約束は守って貰わなければ困ると強調します。
しかし、残念ながら、建物賃貸借賃料の増減については、借地借家法32条(借賃増減請求権)に規定されており、この規定に反する特約-合意-は無効となります。

借地借家法32条(借賃増減請求権)の定めは、借主が賃料減額を、貸主が賃料増額を請求する場合、当事者間に協議が整わない場合、最終的には裁判所で決めるというもので、事前に3年ごとに必ず増額すると決めてもダメですよと言うものです。但し、「一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約」だけは有効です。

借地借家法32条(借賃増減請求権)の2、3項は、裁判で決まるまでは
①貸主が増額請求しても借主は従前賃料を支払えば良いこと、
②借主が減額請求しても借主は従前賃料を支払わなければならないこと、
③裁判が決まった場合、その決まった内容で賃料の過不足を1割の利息を付けて清算する
と言うものです。

○この規定は強行規定と呼ばれこれに反する当事者間の賃料に関する合意-例えば3年ごとの増額改定-は無効であり、それが例えば、借主の要望に従って大型スーパー専用建物を建てて貸した場合(オーダーメイド賃貸借)であっても、又マンション一棟を不動産管理会社に一括貸付けして不動産管理会社は各戸を転貸する形式のサブリース契約であっても同じです。

○オーダーメイド賃貸借やサブリース契約においては賃料の定期的増額や減額はしないとの合意がなされることが多いのですが、そのような合意があっても経済事情の変動により減額請求が許される場合もあると言うことはキッチリ頭に入れておく必要があります。

以上:908文字

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