令和 7年 8月13日(水):初稿 |
○令和7年8月13日午前3時51分ロイター編集ニュースによると、ロシアのラブロフ外相とルビオ米国務長官は12日、電話会談し、15日に米アラスカで予定される米ロ首脳会談の準備について協議し、ロシア外務省が対話アプリ「テレグラム」に投稿した声明によると、両氏は首脳会談を成功させる意向を再確認したとのことです。 ○しかし、以下の日経新聞坂井光編集委員ニュースによると ・ロシアのプーチン大統領の主張は一貫してブレていない ・トランプ大統領の発言内容は時々で変化するが、行動として本質的に変わらないのがプーチン氏への融和姿勢 ・予想されるのはロシアに有利な結果になること ・ゼレンスキー氏が譲歩しなければ、同氏を停戦に否定的な「悪役」に仕立てる-「ゼレンスキー政権はネオナチ」 ・プーチン氏は後世に名を残すため偉業を達成したいというトランプ氏の名誉欲をも利用 ・プーチン氏が首脳会談で中立国ではなくアラスカに赴くのも異例、トランプ氏を立てることで名を捨て、実をとる戦略 とのことで、トランプ氏はプーチン氏に巧く利用されているだけであり、両氏直接会談で、ウクライナも納得してのウクライナ停戦が実現するとは、到底、思えません。 ○しかし、ウクライナ国民に長く続く惨状を見ると、例え納得できない不利な条件でも、先ず停戦実現が必要でしょうか。ウクライナ高官が、不利な条件での停戦は新たな侵略を招くだけと言っています。プーチン氏のこれまでのやり方を見ると正にその通りとも思います。ウクライナ停戦直接交渉で、トランプ氏の真の交渉・解決能力が試されます。殆ど期待できませんが。 ******************************************** ウクライナを悪者にするな プーチン氏の思惑映す米ロ会談 日経新聞2025年8月12日 11:50 編集委員 坂井光 米ロ首脳会談が15日、米アラスカ州で開催される。ロシアのウクライナ侵略開始以降初めての対面による直接対話となる。停戦へ各国の思惑が交錯するなか、ウクライナと欧州抜きの交渉には危うさが拭えない。 トランプ氏の融和姿勢かわらず ロシアのプーチン大統領の主張は一貫してブレていない。 ①一方的に併合宣言したウクライナ東・南部の4州(ドネツク、ルハンスク、ヘルソン、ザポリージャ州)の領有を国際法で認めさせる ②ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)の加盟を断念する ③同国を中立、非武装化する―― が主な内容だ。 一方、トランプ米大統領は制裁強化や原子力潜水艦の配備を表明して圧力をかける姿勢を示すが、実際にロシアに打撃を与えるまでには至っていない。発言内容は時々で変化するが、行動として本質的に変わらないのがプーチン氏への融和姿勢だ。これは就任1期目からの特徴だ。 その2人が直接会って停戦に向けた道筋をつける。領土問題が議題に上がることが明らかになっているが、予想されるのはロシアに有利な結果になることだ。ウクライナのゼレンスキー大統領もアラスカを訪問することが検討されているが、米ロ会談に影響力を及ぼすのは難しそうだ。 「正邪逆転」の演出も 最も懸念されるのは、米ロ対話の結果がゼレンスキー政権にとって受け入れられない場合だ。米国は領土でウクライナに譲歩を迫ることを示唆している。ウクライナが拒否すればトランプ氏は同国への支援見直しをちらつかせるなどの圧力をかける可能性がある。 それこそがプーチン氏が思い描くシナリオだろう。ゼレンスキー氏が譲歩しなければ、同氏を停戦に否定的な「悪役」に仕立てることができる。プーチン氏が繰り返し主張している「ゼレンスキー政権はネオナチ」という主張に利用することも可能だ。 「正邪逆転」を演出し、米国がウクライナ支援を縮小すればプーチン氏は停戦する必要はないのかもしれない。時間をかけてでもウクライナを支配下に置こうとするだろう。 プーチン氏は後世に名を残すため偉業を達成したいというトランプ氏の名誉欲をも利用している。ロシアが勢力圏と位置づける旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの和平交渉に米国の介入を容認。8日にホワイトハウスに両国トップを招き、和平に向けた共同宣言に署名させた。ほぼ同時に米ロ首脳会談開催が発表されたのは偶然ではない。 そのうえロシアとウクライナの停戦を実現できれば「平和の仲介者」というイメージが確立する。プーチン氏はそんなトランプ氏の野心に付け込む。 プーチン氏が首脳会談で中立国ではなくアラスカに赴くのも異例だ。トランプ氏を立てることで名を捨て、実をとる戦略といえる。 「力による現状変更」許すな ロシアのウシャコフ大統領補佐官は「北極やアラスカで双方に利益をもたらすプロジェクトが見込まれる」と発言している。経済分野をウクライナ情勢を巡る米ロ交渉に利用するしたたかな戦略も浮き彫りとなっている。 15日の米ロ首脳会談が力による現状変更や主権の侵害、法の支配を揺るがすような事態を招いてはならない。結果次第では国際秩序のさらなる流動化を止めるため、日本も欧州などと協調して一段の指導力が求められる。 以上:2,080文字
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