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映画”天城越え”を観て-戦前の拷問捜査に驚く

令和 6年 4月29日(月):初稿
○令和6年4月28日(日)夕方、BDソフトで1983(昭和58)年制作映画「天城越え」を鑑賞しました。松本清張氏原作で、1959(昭和34)年12月に刊行された「黒い画集2」に収録された短編小説が原作です。私は、余り小説を読む方ではありませんが、小学5年生の時、たまたま松本清張氏の処女作「西郷札」を呼んで、スッカリ、松本清張氏のファンとなり、小学6年生から中学3年まで、熱心にその小説を読んでいました。

○黒い画集も1・2いずれも読んでおり、その中に「天城越え」があり、原作は読んでいたはずです。しかし、60年の経過でスッカリ内容を忘れていました。映画「天城越え」主演の田中裕子氏は、NHK朝ドラの「マー姉ちゃん」や「おしん」でファンになっていましたが、映画「天城越え」は公開当時鑑賞した記憶は無く、また、LDやBDの発売当時購入しておらず、令和6年3月にBDソフトで映画「事件」を観た後に松竹ブルーレイコレクションとして発売されていることを知って購入していたものです。

○石川さゆり氏が歌った艶歌「天城越え」も大好きな曲ですが、今回映画「天城越え」を観て全く無関係なことを知りました(^^;)。映画「天城越え」冒頭懐かしい坂上二郎氏や若々しい柄本明氏が少しばかり登場しますが、読んでいたはずの原作の記憶は全く消え失せており、全く初めての映画として結論に至るまで、ハラハラ・ドキドキしながら鑑賞出来ました。渡瀬恒彦氏演ずる若い刑事の土工殺し事件捜査から始まりますが、田中裕子氏演ずる被疑者娼婦逮捕後の取調の苛酷さに驚きました。

○出征兵士を送る場面がありますので、戦前昭和10年代の話しと思われますが、日本国憲法第38条2項「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。」なんて人権尊重精神は微塵もなく、「強制・拷問・脅迫」捜査のオンパレードのシーンに、いくら戦前でもこれほど酷かったのだろうかと疑問も感じる渡瀬刑事の取調ぶりでした。なお、渡瀬刑事は、後日談で、土工殺人事件被告人の裁判結果とその後の顛末を、40年後に成人した少年に伝えています。結論は観てのお楽しみです。

○この拷問捜査に耐える田中裕子氏演ずる娼婦の妖艶さと少年との遣り取り、土工との売春シーン等田中裕子氏の演技は見事の一語でした。モントリオール世界映画祭主演女優賞受賞も納得です。

天城越え 予告編



『天城越え』Amagi Pass 1983 Cut P4

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