令和 3年11月25日(木):初稿 |
○「NHKテレビ小説”カムカムエブリバディ”空襲場面に涙す」を続けます。そこで「絨毯爆撃により平気で多数の日本民間人が殺戮される状況から、当時、黄色人種日本人は、白色人種の欧米人からは、同じ人類とは思われていなかったことを実感しました。」と記載していました。第二次世界大戦時のアメリカの日本に対する見方は、長崎原爆投下日に米キリスト教団体からの「見境のない破壊」に憂慮を表明する電報に、トルーマン大統領は、「けだものを相手にせねばならないときは、けだものとしてあつかうべきだ」と反論したとのことで、日本人は人ではなく「けだもの」との評価が一般的だったのかとの思いがあったからです。 ○2021/8/18発行の「日本大空襲「実行犯」の告白~なぜ46万人は殺されたのか (新潮新書)」を一昨日Amazonに注文したら昨日早速届けられ、読み始めています。日本全土に対する無差別絨毯爆撃で日本全土を焦土化する作戦を指揮たのはカーチス・ルメイ少将と言われており、第6章「焼夷弾爆撃に追い込まれるルメイ」から読み始めました。なんとアメリカでは、昭和20(1945)年3月東京大空襲の20年以上前から日本との戦争を想定して、関東大震災で判明した日本の住宅構造の脆弱さ等から日本への攻撃として焼夷弾による無差別爆撃を研究していたとのことです。 ○米軍内部で陸軍・海軍・空軍の内部抗争があり、その抗争に勝って空軍が主導権を握るために空軍の親分であるアーノールド大将の命を受け、ルメイ少将が最終的に、軍事施設を目標とする精密爆撃から焼夷弾による無差別絨毯爆撃を考案して実行したと記述されています。しかし、今回の提供された資料からは、アメリカではその相当以前から、東京の住宅状況を復元するモデル東京を作成し、そこに焼夷弾を落として、その効果を試す実験を繰り返していたとのことに驚きました。日本住宅は木製が多いため焼夷弾の効果は絶大とのことです。 ○当時の実験映像が残されており、モデル住宅に無数の焼夷弾を投下すると住宅の屋根を突き破り、一階部分に着弾すると、着火したゼリー状のガソリンがまるで生き物のようにピョンピョン跳ね上がり、広い範囲に飛び散り、木造家屋は瞬時に燃え上がり、隣家へ次々に延焼し、ゴオゴオと炎を上げて燃える住宅街はやがてバラバラに崩れ去ったとのことです。この実験が昭和45年3月から日本全土で繰り返されたのです。 ○東京大空襲時には、爆撃の中心地では夜中に突然、地獄にたたき落とされた人々は炎で焼かれ、窒息し、爆撃は2時間半に渡って容赦なく続けられ、東京の下町に暮らす130万人が逃げ場のない火の海に包まれ、犠牲者は12万人とも言われているが、今も正確な数字は判っていないそうです。 ○一般市民の犠牲を厭わない無差別爆撃の根拠についてのレポートが残され、そこには大国間で行われる戦争は、女や子どもも軍需品その他の必要な生産に関わり、国の産業や軍事力を支えることから、全て戦闘員と見なされるべきで、そのため彼らの財産を破壊し損害を与えることはベストな戦略であるなんて書かれています。要するに戦争になったら全国民が戦闘員であり戦闘に巻き込まれて焼き殺されても仕方がないとの思想です。一般市民も攻撃の対象として当然となります。 ○いったん始まった戦争を早く終わらせるための一番の近道は、市民を恐怖に陥れ、彼らの戦争への意欲を失わせることだとのことで、何も日本人を人ではなくけだもの・虫けらと見なしたから無差別絨毯爆撃をした訳ではなさそうで、兎に角、戦争になったら全国民戦闘員として攻撃の対象になるとの思想が無差別絨毯爆撃に根拠を与えているようです。 以上:1,506文字
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