平成18年12月18日(月):初稿 |
○平成18年12月17日、MOVIX仙台で今話題の映画「硫黄島からの手紙」を観てきました。クリント・イーストウッド監督の「父親たちの星条旗」の続編で、日本側から見た硫黄島日米決戦です。 ○「大国アメリカに無謀に戦いを挑み、徹底的に叩かれた日本ですが、硫黄島においては、2万2000の兵力で、総勢7万のアメリカ兵を36日間に渡って苦しめたとのことで、日本側から見た映画「硫黄島からの手紙」が、当時の日本をどのように描いてくれるか、12月の公開が待たれます。」と記載していましたが、観ての感想は、正直のところ、イマイチ、と言う感じでした。 ○戦闘シーンはリアルで手に汗握りながらドキドキハラハラの映画の楽しみを満喫しましたが、同じ戦争映画の「男たちの大和」の様に胸をキューンと締め付けられ涙腺が緩むことがありませんでした。戦争を感情を押し殺して淡々と描きすぎたからかも知れません。 ○「父親たちの星条旗」は現代と過去を行ったり来たりしてストーリーが判りづらい面がありましたが、「硫黄島からの手紙」は、最初の手紙発掘シーンの後は殆ど過去の戦闘の経過に絞っていました。所々に国内のエピソードも取り入れてありますが、ストーリーの流れは判りやすくしています。 ○ところが、私が最も知りたかった数の上で圧倒的優勢な米軍の予想では僅か4,5日で陥落するはずが36日間も持ちこたえた経過がイマイチ飲み込めませんでした。赤外線音声補聴システムによるヘッドホンを使用して日本語を聞きましたが、セリフを完全に理解できなかったからかも知れません。 ○私としてはやはりこの36日間持ち堪えた経緯をもう少しきめ細かく判りやすく伝えて欲しかったと思います。又栗林中将の方針に反対する将校達の反抗とそれによる栗林作戦進行の妨げは判ったのですが、その反抗をどうやって排除し、自分の作戦を進行させたかの説明がもう少し欲しかったところです。 ○衝撃的だったのは手投げ弾を身体に押し付けての自爆場面でした。あの追いつめられた状況では仕方がないのかも知れませんが、精神主義の不合理性、愚かさが実感でき、又捕虜となり無抵抗の日本人軍人2名を見張りの米軍軍人が面倒だからとあっさり射殺する場面にも驚きました。 ○戦争とは相手方を殺すことが正義となるいわば狂気が支配するもので殺すか殺されるかの緊迫した状況では敵方の人命は虫けら同様になるはずで米軍においても捕虜虐殺は相当あったと思われるます。ところが捕虜虐殺は日本軍の定番とする自虐的映画が多いところ、戦争の狂気を客観的に描こうとしたクリント・イーストウッド監督の良心を感じ取りました。 ○「男たちの大和」での臼淵大尉の「日本が救われるには敗れて目覚めるしかない」との冷めた目で見ると長期抵抗がどれだけ有効だったのか疑問なきしもあらずです。しかし日本を守りたい、日本を少しでも有利にしたいとの一念で不合理な玉砕戦法をとらず36日間必死に戦い抜いた栗林中将以下の尊い犠牲に合掌です。DVDが発売されたら購入して上記疑問解消まで繰り返し観たいと思っております。 以上:1,262文字
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