平成 2年 1月14日(日):初稿 平成18年 2月 5日(日):更新 |
(H18年2月5日更新、) 1 相続とは ある人が死亡すると、その人(被相続人)が持っていた財産は、一定の親族(相続人)に引き継がれます。 この死亡による財産の引き継ぎを相続といいます。 相続は、被相続人の死亡によって当然に始まります。相続人の意思に関係ありません。 2 相続人の範囲は ① 配偶者(被相続人の夫又は妻)は、常に相続人になります。 ② 配偶者以外では、まず子、子がいないときは直系尊属、子も直系尊属もいないときは 兄弟姉妹の順に相続人になります。胎児も生きて生まれれば子として相続人になります。 ③ 子や兄弟姉妹が、被相続人より先に死亡している場合、その相続分を子や兄弟姉妹の子が 死亡者に「代って」相続します。これを「代襲相続」といいます。 この代襲相続制度により、甥、姪が伯(叔)父、伯(叔)母の財産を相続する場合も生じます。 ④ 普通養子、特別養子も子として相続人になりますが、結婚届をしていない内縁の妻や縁組をしていない事実上の養子は相続人になりません。 3 法定相続分とは 遺言書がなく、複数の相続人(共同相続人)が相続するときは、民法の定める相続比率が基準に なります。これを「法定相続分」といいます。 法定相続分は次のとおりです。 ① 配偶者と子(直系属)の場合:双方2分の1 ② 配偶者と直系尊属の場合:配偶者3分の2、直系尊属3分の1 ③ 配偶者と兄弟姉妹の場合:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1 子、直系尊属、兄弟姉妹が各々複数いる場合は、その相続分を人数によって平等に分けます。 4 廃除とは 子に相続させたくないときは、遺言で定めることもできます。しかし、兄弟姉妹以外の推定相続人 (配偶者、子、直系尊属)には、遺言内容にかかわらず、一定割合の遺産を確保する権利が 認められています。 これを「遺留分」といいます。 この「遺留分」を奪うためには、被相続人となる人が家庭裁判所に「廃除」の申立をしなければ なりません。「廃除」が認められるためには、推定相続人に ①被相続人に対する虐待、重大な侮辱、②著しい非行があったときに限られます。 5 相続欠格とは 子が父を殺したり、又詐欺や強迫で父に遺言をさせたり、父の遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿したり した場合、法律上当然に相続権を失います。これを「相続欠格」といいます。 6 特別受益者とは 被相続人から婚姻や養子縁組のため生計の資本として(生前に)贈与を受けたり、遺贈を受けた 相続人は「特別受益者」となります。 特別受益の財産は、被相続人の遺産に加えて、「特別受益者」が既に受領したものとして相続分を 計算します。 7 寄与分とは 相続人の中で、被相続人の事案に関して労務を提供したり、被相続人の療養看護をしたりしてて、 被相続人の財産の維持または増加に特別の貢献をした人がいるときは、その貢献の程度に 相当する額を「寄与分」としてその相続人に与えられます。 8 相続したくないとき(相続の承認と放棄) 相続は相続人の意思にかかわらず、当然に開始します。 しかし、相続人には相続の開始を知ったときから3ケ月以内であれば、家庭裁判所に申出て 相続の放棄をすることができます。相続の放棄をした人は、はじめから相続人でなかったもの とみなされます。 ① 相続の開始を知って、何もしないで3ケ月経過したとき、 ② 相続財産の一部でも処分したとき、 などは相続放棄はできません。 相続を知って3ケ月以内であれば、被相続人の財産がプラスかマイナスかはっきりしない場合、 プラス(積極)財産の範囲内で、マイナス(消極)財産や遺贈の義務を承継するとの「限定承認」を 家庭裁判所に申出ることができます。 以上:1,542文字
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