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被相続人不動産売買契約締結努力に寄与分を認めた家裁審判紹介

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令和 7年 8月27日(水):初稿
○寄与分に関する裁判例を探していますが、遺産分割に伴う寄与分を定める処分申立事件について、被相続人所有の土地の売却に当たり、同土地上の家屋の借家人との立退交渉、同家屋の取壊し及び滅失登記手続、同土地の売買契約の締結等に努力した相続人につき、土地売却価格の増加に対する寄与を認め、寄与の程度を定めるにあたり、不動産仲介人の手数料基準をも考慮した昭和62年9月1日長崎家裁諫早出張所審判(家庭裁判月報40巻8号77頁)関連部分を紹介します。

○介護費用に関する寄与分の主張は、被相続人の介助の点については,被相続人に対する世話は日常生活(食事の仕度・洗濯等)の範囲内のもので,それ以上の特別の介護費用を要する種類のものではなく,肉身としての当然の互助の範囲を出るものではなく,相続財産の維持に貢献したとまでみることはできないとして認められませんでした。

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主   文
1 被相続人Aの遺産を次のとおり分割する。
(1) 申立人Bは,別紙遺産目録A不動産aの土地,B預貯金のうち393万0255円,Cの家財道具類一式及びD同人の既取得にかかる現金13万1880円を取得する。
(2) 相手方Cは別紙遺産目録A不動産cの土地とdの家屋及びB預貯金のうち676万8135円を取得する。
(3) 両事件相手方Dは別紙遺産目録A不動産bの土地及びB預貯金のうち335万4135円を取得する。
(4) 両事件相手方E,同F,同Gはそれぞれ別紙遺産目録B預貯金のうち323万6711円あてを取得する。
2 相手方Cの寄与分を金300万円と定める。
3 両事件に関する手続費用中,鑑定人○○○○に支給した鑑定費用24万3000円は,申立人B,相手方C,両事件相手方Dが各6万0750円あて,両事件相手方E,同F,同Gが各2万0250円あてを負担することとし,その余の手続費用は各自の負担とする。


理   由
第1 申

 申立人B(以下,単に申立人という)は,被相続人Aの遺産について適正な分割を求め,相手方C(以下,単に相手方Cという)は,被相続人Aの遺産についての寄与分を定めることを求めた。

第2 当裁判所の判断

     (中略)

(4) 寄与分
 相手方Cは,その費用で,長崎市○○○××番地所在の被相続人の自宅を改造し,母屋を間貸し,小屋を自用できるようにした。その後本家建物の老朽化にともない建物を解体更地とするため借家人の立退き交渉や建物の解体・滅失登記手続をなした。また,被相続人の売却依頼に基づき,該土地の買手を探し,昭和54年2月10日○○○○○工業(株)との間で坪25万円で売買契約を締結した。その際公簿面積は462平方メートルであつたが,隣接地権者との交渉を重ね,実測面積527.72平方メートルを確保し,売買面積を65.72平方メートル増加させた。

その後,その売却代金のうち2000万円を信託預金にし,また余剰金は預金・定期預金にするなどして管理し,流動資産の減少防止,有利な運用に努めた。さらに,被相続人と昭和54年5月11日から同56年7月25日まで約2年2月同居して,その介助身辺の世話をした。以上の様な資産の増加に貢献した額は500万円世話・扶養の額は260万円計760万円を相手方原田の特別寄与として主張するとしている。

 ところで,被相続人の介助の点については,被相続人に対する世話は日常生活(食事の仕度・洗濯等)の範囲内のもので,それ以上の特別の介護費用を要する種類のものではなく,肉身としての当然の互助の範囲を出るものではなく,相続財産の維持に貢献したとまでみることはできない。

 次に,土地売却にあたつての寄与の主張については,土地の実測面積が公簿面積より広かつたことは,土地自体の有していた経済的価値が顕現したものにすぎず,このこと自体を相手方原田の寄与とみることはできない。しかし,土地売却にあたり借家人の立退交渉,家屋の取壊し,滅失登記手続,売買契約の締結等に努力したとの事実は認められるので,売却価格の増加に対する寄与はあつたものとみることができる。そして,その程度は,不動産仲介人の手数料基準をも考慮し,300万円と認めるのが相当である。
従つて,相手方Cの寄与分を300万円と定める。
以上:1,773文字

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