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特別受益持戻し免除と遺留分減殺請求についての高裁・最高裁の違い

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令和 3年 5月14日(金):初稿
○被相続人A、相続人は、妻Y1、Y1との子Y2・Y3、前妻との子X1・X2・X3の6名で、
法定相続分は、Y1が2分の1、子5名は各10分の1、子の遺留分は20分の1のところ、
Aの遺言内容は、相手方Y1の相続分を2分の1、Y2・Y3の相続分を各4分の1,X1・X2・X3の相続分を0
でした。

○第一審大阪家裁、相続分を
相手方Y1は、40分の20=2分の1、Y2・Y3は、各40分の7、X1・X2・X3は、各20分の1

抗告審大阪高裁も
①本件遺言による相続分の指定が減殺され,法定相続分を超える相続分を指定された相続人の指定相続分が,その法定相続分の割合に応じて修正される結果,相手方Y1の相続分が2分の1,Y2・Y3の相続分が各40分の7,X1・X2・X3の相続分が各20分の1となり,
②本件持戻し免除の意思表示は,抗告人らの遺留分を侵害する合計20分の3の限度で失効する
とした上,民法903条1項の規定により,本件贈与に係る財産の価額を上記の限度で本件遺産の価額に加算したものを相続財産とみなし,これに上記①のとおり修正された相続分の割合を乗じ,相手方Y2の相続分から上記のとおり本件遺産の価額に加算した本件贈与に係る財産の価額を控除して,抗告人ら及び相手方らの各具体的相続分を算定し,本件遺産を分割した。

○最高裁判決は、
本件遺留分減殺請求により本件遺言による相続分の指定が減殺され,相手方らの指定相続分がそれぞれの遺留分割合を超える部分の割合に応じて修正される結果,相手方Y1の指定相続分が52分の23,その余の相手方らの指定相続分が各260分の53,抗告人らの指定相続分が各20分の1となり,本件遺産の価額に上記の修正された指定相続分の割合を乗じたものがそれぞれの相続分となる
としました。

最高裁決定は,本件遺留分減殺請求後の各相続人の指定相続分につき,Y1の指定相続分が52分の23,Y2・Y3の指定相続分が各260分の53となるとした根拠については、以下のような計算によるものと考えられています。
①指定相続分の遺留分超過分を算出する。
Y1:1/2(指定相続分)-1/4(遺留分割合)=5/20
Y2・Y3:1/4(指定相続分)-1/20(遺留分割合)=4/20
②Y1・Y2・Y3の遺留分超過分の割合を算出する。
Y1:Y2:Y3=5:4:4
③Xらの遺留分各1/20の合計3/20を上記②の割合によりYらに割り付ける。
Y1:3/20×5/(5+4+4)=15/260
Y2・Y3:3/20×4/(5+4+4)=12/260
④上記③で割り付けた分をYらの指定相続分から控除する。
Y1:1/2-15/260=115/260=23/52
Y2・Y3:1/4-12/260=53/260

遺留分権利者のXらの相続分は、一審・抗告審・最高裁いずれも一人当たり20分の1です。最高裁の結果は、Y1・Y2・Y3の相続分を変更しており、ポイントはY2の生前贈与が考慮されている点です。これによってXらにに有利になっているかどうか、今後、検討を続けます。

以上:1,260文字

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