令和 2年10月27日(火):初稿 |
○「相続財産管理人の実務基礎の基礎」に相続財産管理人に関する民法の条文をごく簡単に説明していましたが、先日、「実務家が陥りやすい相続人不存在・不在者財産管理の落とし穴」という書籍を見つけて購入しました。概要は 思わぬ「落とし穴」によるミスやトラブルを回避するために! ◆実務家が誤解・誤認しやすい相続財産・不在者財産の管理・処理方法を「誤認例」を示して解説しています。 ◆相続財産・不在者財産管理人の選任申立てから財産の換価・弁済まで多岐にわたる業務の中で留意すべき実務運用を取り上げています。 ◆相続財産・不在者財産管理人に選任された専門家や申立てを依頼された専門家に向けて、実務に精通する弁護士がわかりやすく解説しています。 と説明されています。 ○弁護士11名による共同執筆で、実務家による解説ですので、より実務に役立つと思われますので、徐々に紹介していきます。 相続人が不存在の場合での相続財産管理人選任申立では、先ず裁判所への予納金が問題になります。予納金は、主に相続財産管理人の報酬に充当される金員です。昔は、20万円程度で済んだこともありましたが、最近は、原則として100万円を要求されると覚えていました。数年前に東京家裁に申立したときに予納金として100万円を要求され、値切り交渉をしたのですが、断られて100万円を納め、昨年は横浜家裁に申立をしましたが、同様に100万円を納めました。 ○ところが、「実務家が陥りやすい相続人不存在・不在者財産管理の落とし穴」26頁以下には、誤用例として「相続財産管理人管理人選任申立では、100万円程度の予納金を求められるケースが多い。」と記載され、本当は「近時、相続財産管理人・不在者財産管理人の予納金額はおおむね50万円程度と低額化しており、事案の内容によって更なる減額が認められることもある。」と記載されています。 ○私が、東京家裁に不在者財産管理人選任申立をしたのは、確か5年ほど前でしたが、そのとき仙台家裁の感覚で30万円程度を予定して、東京家裁に事前に予納金額を確認したところ、担当事務官から東京家裁は予納金100万円であり減額は一切認められないとの回答で、お客様に説明し、やむなく100万円を納めました。昨年横浜家裁に申立をした際も、同様でした。「実務家が陥りやすい相続人不存在・不在者財産管理の落とし穴」執筆者は、東京の弁護士さんが多いようですので、執筆に当たり、東京家裁に確認しているはずですので、最近、取扱が変わったと思われます。 ○「実務家が陥りやすい相続人不存在・不在者財産管理の落とし穴」27頁には、予納金は大~中規模庁では、1件あたり100万円程度求められることが多く、これが手続利用の上で支障となっていたため、手続きの利便性を向上させるため、多くの庁において予納金額の見直しが行われ、近時は1件当たり50万円程度とされるケースが多いようですと説明されています。さらに申立対象相続人財産として回収確実な預貯金等がある場合、予納金額が1万円程度の官報広告費用のみとされた例もあるとのことです。 以上:1,270文字
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