平成30年 3月 6日(火):初稿 |
○一人っ子のAさんは、結婚をせず、両親と同居していましたが、最初に父、次に母がなくなり、最初に亡くなった父名義の土地・建物に居住していたところ、Aさんも60代で亡くなり、死後、10日程経って、姿が見えなくなって不思議に思った隣人が、Aさんの居宅に入り、Aさんが死亡しているのを発見し、警察に届けました。 ○警察が、検視をして病死を確認し、戸籍謄本等で身寄りを調査したところ、最も近い親戚として、母同士が姉妹で隣県に住んでいる従兄弟のBさんに連絡して、遺体の引取を要請しました。Bさんは、Aさんとは、従兄弟として年に1回位は連絡を取り合っており、遺体の引取に応じたところ、警察からAさんの預貯金通帳等も引き取り、遺体を火葬し、遺骨をAさんの父母がお墓に入れました。遺体引取・火葬・納骨に多少費用がかかりました。Aさんの預貯金は1000万円程あり、また、Aさんの亡父名義土地建物も時価2000万円程度はありました。 ○相続人は、先ず配偶者と子になりますが、一生独身のAさんにはいずれも居ません。次に両親が相続人になりますが、既に死去して居ません。次に兄弟姉妹になりますが、一人っ子のAさんには居ません。両親が再婚等で離婚した配偶者の子がいれば、半血の兄弟姉妹として相続人になるケースもありますが、Aさんの両親にAさん以外の子は居ませんでした。 ○そこで遺体を引き取り、火葬・納骨までした従兄弟のBさんが今後の手続について相談に来ました。兄弟姉妹の子である甥・姪までは、兄弟姉妹相続人の代襲相続人として相続人になる可能性がありますが、親同士が兄弟姉妹である従兄弟姉妹(いとこ)は相続人にはなりません。Aさんは、相続人不存在になります。 ○この場合、民法第6章相続人の不存在となり第951条「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」から第959条「前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。」の条文が適用になり、最終的にAさんに残された1000万円の預貯金、2000万円相当の土地建物等Aさんの財産は、「国庫に帰属」することになります。 ○Bさんは70代でAさんより10歳程年上ですが、子供時代、母同士が姉妹で隣県に移るまでは近所に住んで弟の様に接していたこともあり、今後、自分とその家族で子孫の居ないAさん一家の供養をしていきたいと思っております。この場合、BさんがAさんの3000万円相当以上の遺産の一部でも取得できるかどうか相談されました。 以上:1,029文字
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