平成28年 7月 1日(金):初稿 |
○父母が離婚し、母が親権者になり、その後母死亡により、その母即ち祖母が未成年後見人に就任していたが、祖母が未成年後見人を辞任して、実父に親権者になって貰うことが出来ますかとの質問を受けました。 関係条文は以下の通りです。 第839条(未成年後見人の指定) 未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。 2 親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定により未成年後見人の指定をすることができる。 第840条(未成年後見人の選任) 前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。 2 未成年後見人がある場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に規定する者若しくは未成年後見人の請求により又は職権で、更に未成年後見人を選任することができる。 第841条(父母による未成年後見人の選任の請求) 父若しくは母が親権若しくは管理権を辞し、又は父若しくは母について親権喪失、親権停止若しくは管理権喪失の審判があったことによって未成年後見人を選任する必要が生じたときは、その父又は母は、遅滞なく未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。 ○母死亡後、母の遺言により祖母が親権者に指定された場合、遺言効力発生時即ち母死亡時に祖母が当然に未成年後見人に就任したものとみなされ、10日以内に後見開始の届出をしなければなりません。 戸籍法第81条 民法第838条第1号に規定する場合に開始する後見(以下「未成年者の後見」という。)の開始の届出は、同法第839条の規定による指定をされた未成年後見人が、その就職の日から10日以内に、これをしなければならない。 ○この未成年者後見人に就任した祖母が、辞任できるとの直接の規定は見当たりませんが、実際の必要性や、以下の親権又は管理権の辞任の規定から認められると思われます。 第837条(親権又は管理権の辞任及び回復) 親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。 ○その場合の手続は、前述民法第840条による家庭裁判所への未成年後見人選任の申立になると思われます。祖母は親族としてこの選任申立権があります。この申立の際、実父を未成年後見人候補者として記載することができます。しかし、実父が再婚して親権者となる意思がない場合には、この候補者の記載に拘束されず、子にとって最も適切な人を後見人に選任することになると思われます。 以上:1,135文字
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