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「相続させる」と「遺贈」の登録免許税率-相続人の場合変わらず

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平成27年 1月13日(火):初稿
○「『相続させる』旨の遺言でも代襲相続しないとの最高裁判決全文紹介」で、被相続人Aが子Bに財産全部を「相続させる」との遺言を残し、BがAより先に死亡した場合、Bの子が民法第887条の代襲相続をするのか、或いは、民法第994条によってその遺言は失効するのかが争われ、原則遺言失効説を採用した平成23年2月22日最高裁判決(判タ1344号115頁、判時2108号52頁)を紹介しました。

○この最高裁判決によれば、被相続人A、子B、孫Cとして、Aが「全財産をBに相続させる」との遺言書を残しても、BがAより先に死亡すれば、民法第994条(受遺者の死亡による遺贈の失効)「遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。」との規定により、その遺言書は全部無効になります。Aが死亡したときは、Aの法定相続人が遺産分割協議をしなければならず、孫Cは、Bの代襲相続人としてその法定相続分だけしか請求できません。

○そこで、孫Cに全財産を引き継がせたい場合、子BがAより先に死亡した場合に備えて、遺言書は、「全財産をBに相続させる」に「Bが遺言者より先に死亡した場合は、孫Cに相続させる」と付け加える必要があります。この場合、遺言書作成時点では、Bが存命しCはAの相続人ではありません。しかし、「Bが遺言者より先に死亡した場合」との条件が成就するとCはBの代襲相続人になりますので「相続させる」との表現は使えます。

○ところが、B存命中でも、当初から孫Cに全財産を引き継がせたいとして遺言を作成する場合は、孫Cは相続人ではありませんので、「Cに遺贈する」とせざるを得ません。「相続させる」と「遺贈」の最大の違いは、不動産所有権移転登記の際の登録免許税率で、「相続させる」で1000分の4、「遺贈する」で1000分の20となり5倍の差があります。例えば固定資産評価額10億円の土地だと、所有権移転登記の登録免許税は「相続」で400万円、「遺贈」で2000万円と1600万円も差が出ます。

○当初から孫Cに「遺贈」するとの遺言書を作成し、遺言者が死亡する前に、子Bが死亡した場合、孫Cは、Bの代襲相続人になります。この場合、遺言書を「遺贈」のままにしておくと、遺言の効力が発生し、「遺贈する」との遺言書によって孫Cに移転登記をするとき登録免許税はどうなるかと言う問題がありました。これについては、平成15年4月1日法務省民二第1022号通達
2 遺贈による移転登記の取扱い
 遺贈による所有権移転登記に係る登録免許税の税率は、受贈者が相続人であるときは、相続による所有権移転登記の場合(改正後の登録免許税法別表第一第一号(二)イ)と同様とされた(改正後の登録免許税法第17条参照)。ただし、この税率(1000分の4)の適用を受けるには、申請書に受贈者が相続人であることを証する書面(戸籍謄抄本等)が添付されていなければならない。
とされて、孫Cが代襲相続人であることを証明すれば「遺贈」ではなく「相続」としての登録免許税率で良いとの結論になっていました。




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