平成26年 1月28日(火):初稿 |
○平成18年5月に「特別養子縁組制度の基礎の基礎」を記載して、この制度の私なりの解説を試みようとしました。当時、特別養子縁組申立代理を依頼されて、問題なく認められるだろうと簡単に考えて、仙台家裁に申立をしたところ、全く意外にも棄却となり、頭に血が上り、発奮して仙台高裁に抗告し、抗告審で見事、家裁審判を覆して意気高揚としていたからです。ところが一時の意気高揚の熱が冷めたら、スッカリ、忘れてしまい、そのままになっていました(^^;)。 ○特別養子制度の目的は、いわゆる「藁の上からの養子」の法律的実現で、外形上は実子と変わらない特別の養子制度の創設でした。「特別養子縁組制度の基礎の基礎」には、「特別養子縁組を認める審判があると、養子の実父母及び実父母の血族との関係は終了し、養親が養子の法律上の実父母となります。したがって、特別養子の戸籍には、養子の父母欄に実父母の氏名は記載されず、続柄欄には養親の「長男・長女等」と記載され、身分事項欄にも養子縁組の文字は使用されず戸籍の外観上は実子と殆ど変わらなくなります。」と記載していました。 ○ところが、今般、特別養子かどうかの確認が必要な事案の相談があり、実際、特別養子の場合の戸籍上の表現方法を確認が必要になりました。戸籍に関する解説文献で、私の知る限り最も詳細なものは、福岡法務局戸籍実務研究会編「最新戸籍の知識○○○問」です。○○○問は最新版では、123問になっています。 ○この「最新戸籍の知識」には、「特別養子の戸籍の処理方法について」との標目で詳しく解説され、具体的記載状況については次のように解説されています。 養親の戸籍には、できるだけ実子と同様の記載をするとの配慮から、「特別養子縁組」、「養父母」、「養子」等の字句を使用せず、特別養子の身分事項欄には、「年月日民法817条のによる裁判確定」と、特別養子縁組であることを民法の条文をもって間接的に記載します。また、養親の戸籍の父母の続柄欄には、養父母との続柄を、子の出生の前後に従い、「長男(女)」、「二男(女)」などと嫡出子の例により記載します。○この記載を見て思わず笑ってしまいました。「特別養子の身分事項欄には、『年月日民法817条のによる裁判確定』と、特別養子縁組であることを民法の条文をもって間接的に記載」と説明ですが、「年月日民法817条のによる裁判確定」との記載で、「直接的」に特別養子であることが明白だからです。「できるだけ実子と同様の記載をするとの配慮」は全く不十分と評価出来ます。 ○実際、特別養子縁組みをした方のブログ「~~JILL姉の里親日記~~」の「養子縁組の戸籍はこうなる 」との記事のよると、実際の戸籍表示は次のとおりです。 *戸籍に記載されている者 【名】A 【生年月日】平成10年9月17日 【父】B 【母】C 【続柄】長男 *身分事項 出生 【出生日】平成10年9月17日 【出生地】大阪市北区 【届出日】平成10年9月23日 【届出人】母 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 民法817条の2 【民法817条の2による裁判確定日】平成11年8月25日 【届出日】平成11年8月29日 【届出人】父母 【送付を受けた日】平成11年9月6日 【受理者】奈良県生駒市長 【従前の戸籍】大阪市北区OO町OO番地 ○【民法817条の2による裁判確定日】平成11年8月25日との表示により、特別養子であることが一目瞭然です。確かに【続柄】長男と表示されていますが、正に「頭隠して尻隠さず」です。この制度を考えた方々には、もう少し工夫して貰いたかったものです。 以上:1,488文字
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