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限定承認の基礎の基礎-民法の条文は僅か16条

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平成23年 9月27日(火):初稿
○平成23年9月現在、限定承認案件を数件抱えており、限定承認に関する備忘録を連載します。
限定承認に関する文献は意外に少なく、現在私が所持している限定承認だけをまとめて解説した文献は、弁護士五右衛門氏著「改訂限定相続の実務」だけです。この著作のキャッチフレーズは「限定相続を理解せずして相続を理解したとは言えない」で、同著推薦のことばは以下の通りです。
法律がわからないと 税理士が避け
税務がわからないと 弁護士が逃げた
未開の分野を 著者が果敢に
実務上の指針を示した待望の改訂版
まさに弁護士、税理士、司法書士必携の名著
改訂版で、限定承認手続きで知りたかったノウハウが、実務的に解説されています。


○限定承認は民法上は、第922条から始まり937条まで僅か16条に規定されているだけの制度で、末尾に前条文を掲載します。
限定承認のポイントは、相続債務の弁済責任は、被相続人の財産の範囲内に限定されることで、被相続人の財産と債務の内訳が不明の場合に便利な制度です。もし相続財産より相続債務が大きくても相続財産だけで弁済すれば足りるからです。
例えば相続財産として僅かの預貯金と不動産があるが、不動産には時価と同程度の抵当権付き債権があり、不動産の売却価格次第では債務超過になるおそれもあるような場合、放棄するのも惜しいが、かといって、債務超過になった場合の自己財産で責任追うことも避けたい様な場合などには利用価値があります。

限定承認手続概要は
①限定承認申請
②限定承認受理後、5日以内に2ヶ月以上の期間で相続債権者・受遺者への請求申出公告
 これによって相続債権者・受遺者を限定
③届出相続債権者・受遺者に対する相続財産による弁済、債務超過の場合は相続債権者に対し原則同率配当
 債務超過の場合は破産手続における管財人の役割
④弁済のための相続財産換価は原則として競売手続
 但し、限定承認者に裁判所選任鑑定人評価による先買権あり

です。

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第922条(限定承認)
 相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。

第923条(共同相続人の限定承認)
 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。

第924条(限定承認の方式)
 相続人は、限定承認をしようとするときは、第915条第1項の期間内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければならない。

第925条(限定承認をしたときの権利義務)
 相続人が限定承認をしたときは、その被相続人に対して有した権利義務は、消滅しなかったものとみなす。

第926条(限定承認者による管理)
 限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。

2 第645条(受任者による報告)、第646条(受任者による受取物の引渡し等)、第650条第1項及び第2項(受任者による費用等の償還請求等)並びに第918条第2項(相続財産の管理)及び第3項(第27条(管理人の職務)・第28条(管理人の権限))の規定は、前項の場合について準用する。

第927条(相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告)
 限定承認者は、限定承認をした後5日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。

2 前項の規定による公告には、相続債権者及び受遺者がその期間内に申出をしないときは弁済から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者を除斥することができない。

3 限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者には、各別にその申出の催告をしなければならない。

4 第1項の規定による公告は、官報に掲載してする。

第928条(公告期間満了前の弁済の拒絶)
 限定承認者は、前条第1項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。

第929条(公告期間満了後の弁済)
 第927条第1項の期間が満了した後は、限定承認者は、相続財産をもって、その期間内に同項の申出をした相続債権者その他知れている相続債権者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。

第930条(期限前の債務等の弁済)
 限定承認者は、弁済期に至らない債権であっても、前条の規定に従って弁済をしなければならない。

2 条件付きの債権又は存続期間の不確定な債権は、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従って弁済をしなければならない。

第931条(受遺者に対する弁済) 
 限定承認者は、前2条の規定によって各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。

第932条(弁済のための相続財産の換価)
 前3条の規定に従って弁済をするにつき相続財産を売却する必要があるときは、限定承認者は、これを競売に付さなければならない。ただし、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価に従い相続財産の全部又は一部の価額を弁済して、その競売を止めることができる。

第933条(相続債権者及び受遺者の換価手続への参加)
 相続債権者及び受遺者は、自己の費用で、相続財産の競売又は鑑定に参加することができる。この場合においては、第260条第2項の規定を準用する。

第934条(不当な弁済をした限定承認者の責任等)
 限定承認者は、第927条の公告若しくは催告をすることを怠り、又は同条第1項の期間内に相続債権者若しくは受遺者に弁済をしたことによって他の相続債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。第929条から第931条までの規定に違反して弁済をしたときも、同様とする。

2 前項の規定は、情を知って不当に弁済を受けた相続債権者又は受遺者に対する他の債権者又は受遺者の求償を妨げない。

3 第724条の規定は、前2項の場合について準用する。

第935条(公告期間内に申出をしなかった相続債権者及び受遺者)
 第927条第1項の期間内に同項の申出をしなかった相続債権者及び受遺者で限定承認者に知れなかったものは、残余財産についてのみその権利を行使することができる。ただし、相続財産について特別担保を有する者は、この限りでない。

第936条(相続人が数人ある場合の相続財産の管理人)
 相続人が数人ある場合には、家庭裁判所は、相続人の中から、相続財産の管理人を選任しなければならない。

2 前項の相続財産の管理人は、相続人のために、これに代わって、相続財産の管理及び債務の弁済に必要な一切の行為をする。

3 第926条から前条までの規定は、第1項の相続財産の管理人について準用する。この場合において、第927条第1項中「限定承認をした後5日以内」とあるのは、「その相続財産の管理人の選任があった後10日以内」と読み替えるものとする。

第937条(法定単純承認の事由がある場合の相続債権者)
 限定承認をした共同相続人の一人又は数人について第921条第1号又は第3号に掲げる事由があるときは、相続債権者は、相続財産をもって弁済を受けることができなかった債権額について、当該共同相続人に対し、その相続分に応じて権利を行使することができる。
以上:3,142文字

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