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不動産の相続による承継と対抗要件(登記)

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平成18年 5月14日(日):初稿
○Aが所有不動産をBに売却した後にCに売却してCに所有権移転登記をした場合(二重譲渡)、先に買い受けたBよりも先に登記を取得したCが優先し、BC間ではCが不動産所有権を取得することは一般の方もご存じと思います。

○権利の取得と対抗要件(不動産の場合は登記)は相続の場合も問題になりますので備忘録として整理します。被相続人A、相続人として妻B、長男C、長女Dが居た場合、法定相続分はBが2分の1、CDが各4分の1です。

○Aの不動産を長男Cが全部自分のものと登記して第3者Eに売却して移転登記した場合、B、Dの持分合計4分の3については第3者Eはたとえ登記があっても対抗できず、BDに返還しなければなりません。CにはBDの持分について無権利であり登記に公信力が無いからです。

○上記事案でEはCの持分4分の1は完全に権利を取得しますが、Aが遺言でBに4分の3,CDは各8分の1との遺言を残していた場合は、Eが完全に権利を取得するのはあくまで8分の1のみであり、Cの法定相続分の4分の1の権利取得を登記があっても対抗できないと言うのが判例です(最高裁平成5.7.19家月46-5-23)。

○又、特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言によって不動産を取得した者は、登記なくしてその権利を第三者に対抗することができますので、Aが遺言で妻Bの全財産を「相続させる」との遺言を残していた場合、長男からこの不動産を買い受け登記したEは長男の法定相続分8分の1も取得できません(最高裁平成14.6.10家月55-1-77)。

○しかし不動産を全てBに遺贈された場合、Bの法定相続分を超える2分1については登記無くして第3者に対抗できないとされており(最高裁昭和39.3.6民集18-3-437)、上記判例の立場とは整合性がとれません。Bの法定相続分を超える部分について「相続分の指定」或いは「相続させる」なら対抗でき、「遺贈」なら対抗できないと言うのはおかしいという批判があります。

○遺産分割で不動産は全てBが取得すると決めてもCがこれを無視して自己の法定相続分4分の1をEに売却して登記した場合はBはこの4分の1に関しては登記がないのでEに権利を主張できなくなることも確定判例です(最高裁昭和46.12.6民集25-1-90)。

○Aが生前不動産をXに売却していたところ登記未了のまま死亡し、相続人らがこれをYに売却してY名義に登記した場合は、XとYは対抗問題となり、先に登記を取得したYが不動産所有権を取得します。

○Cが相続放棄をしたが、遺産たる不動産についてCの法定相続分4分の1をCの債権者が債権者代位登記をした上で仮差押をした場合、相続放棄は相続時に遡って相続人では無かったことになるので仮差押は無効とされました(最高裁昭和42.1.20民集21-1-16)。これによると相続の放棄は登記無くして対抗できることになります。
以上:1,200文字

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