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指定相続分・遺産分割方法指定・遺贈の区別困難

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平成18年 5月12日(金):初稿
○相続分野は法の定めが不完全で解釈に任せるところが多く、なかなか理解が困難な面があり、備忘録を充実させる必要がある分野で、徐々に充実させたいと思っております。

○民法第899条で「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」と定められ、相続分とは、民法900条で、相続人が
①配偶者と子供の場合、配偶者2分の1,
②配偶者と直系尊属の場合、配偶者3分の2、
③配偶者と兄弟姉妹の配偶者4分の3で、
残りを子、直系尊属、兄弟姉妹が均等に分ける
ことは、よく知られており、この相続分は民法で定めたもので法定相続分と呼ばれています。

○相続分は、相続財産に対する分数的割合であり、割合を示すことから相続分率とも言われますが、実はその中身については難しい問題があり、我々実務家においても混乱をすることがあります。と言うのは民法902条では、遺言で定める指定相続分が認められ、更に民法903乃至904条の2で特別受益寄与分があると最終的相続分は変わってくるからです。

○この最終的な相続分の性質については、遺産分割審判の審理と共に初めて明らかになるもので、単なる計算上の分割基準に過ぎず、それ自体が権利関係の実質はないとする「遺産分割分説」が裁判所の考え方で、遺産分割審判事件や遺留分減殺請求事件の前提問題を離れて、相続分の確認を求める訴えは確認の利益を欠き不適法とされています(最高裁平成12.2.24民集54.2.523頁)。

○民法902条では遺言で法定相続分とは異なる割合での相続分を定めることが出来、これを法定相続分に対し指定相続分と呼ばれ、指定相続分は法定相続分より優先します。ところが民法908条で遺言で遺産分割の方法を定めることが出来、更に民法964条で遺言でその財産の全部又は一部を処分する遺贈の制度が認められています。

○この①相続分の指定②遺産分割の方法の指定③遺贈の3つの区別は大変紛らわしくて難しく我々実務家を悩ませます。例えば被相続人父Aと相続人妻B、長男C、長女Dが居る場合の典型例は、
①相続分の指定は、「妻Bに4分の3、長男C長女Dには各8分の1」と定めるもの、
②遺産分割方法の指定は、遺産を現物で分ける現物分割、売却して価額で分割する換価分割、相続人の1人が財産を取得して他の相続人に代償金を支払わせる代償分割、共有とする共有分割等の方法を定めるもの、
③遺贈は、居住土地建物は妻Bに与えると定める(特定遺贈)或いは全体の4分の3の財産を妻に与える(包括遺贈)と定めるもの
を言いますが、遺言者に「私の財産は全部妻Bにやる」と記載された場合、この①、②、③の何れに当たるのかの解釈が大変難しくなります。
以上:1,109文字

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