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弁護士法第4章の2弁護士法人に関する条文覚書1

令和 1年10月31日(木):初稿
○弁護士法人制度は、日弁連業務対策(現在は業務改革)委員会が担当しておそらく平成の初め頃から制度化の検討がなされ、平成13年の弁護士法改正により平成14年4月1日から施行されました。山形県弁護士会の武田正男弁護士は、施行翌日平成14年4月2日弁護士法人を設立されたのことで、「弁護士法人のメリット,デメリット 」という記事を書かれています。

○弁護士事務所の譲渡、M&A等の関係で弁護士法人について勉強する必要性を感じておりますが、ネット上には、上記武田弁護士の記事以外に弁護士法人についての解説記事は、殆ど見つけることができません。武田弁護士も記述している高中正彦氏著の「弁護士法概説(第3版)」(三省堂)で勉強するしかないようです。制度の根幹は弁護士法での条文であり、以下、弁護士法第4章の2弁護士法人の条文備忘録です。

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第4章の2 弁護士法人

第30条の2(設立等)

 弁護士は、この章の定めるところにより、第3条に規定する業務を行うことを目的とする法人(以下「弁護士法人」という。)を設立することができる。
2 第1条の規定は、弁護士法人について準用する。

第30条の3(名称)
 弁護士法人は、その名称中に弁護士法人という文字を使用しなければならない。

第30条の4(社員の資格)
 弁護士法人の社員は、弁護士でなければならない。
2 次に掲げる者は、社員となることができない。
一 第56条又は第60条の規定により業務の停止の懲戒を受け、当該業務の停止の期間を経過しない者
二 第56条又は第60条の規定により弁護士法人が除名され、又は弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合において、その処分を受けた日以前30日内にその社員であつた者でその処分を受けた日から3年(弁護士法人の業務の停止の懲戒を受けた場合にあつては、当該業務の停止の期間)を経過しないもの

第30条の5(業務の範囲)
 弁護士法人は、第3条に規定する業務を行うほか、定款で定めるところにより、法令等に基づき弁護士が行うことができるものとして法務省令で定める業務の全部又は一部を行うことができる。

第30条の6(訴訟関係事務の取扱い)
 弁護士法人は、次に掲げる事務については、依頼者からその社員又は使用人である弁護士(以下「社員等」という。)に行わせる事務の委託を受けるものとする。この場合において、当該弁護士法人は、依頼者に、当該弁護士法人の社員等のうちからその代理人、弁護人、付添人又は補佐人を選任させなければならない。
一 裁判所における事件(刑事に関するものを除く。)の手続についての代理又は補佐
二 刑事に関する事件の手続についての代理、刑事に関する事件における弁護人としての活動、少年の保護事件における付添人としての活動又は逃亡犯罪人引渡審査請求事件における補佐
2 弁護士法人は、前項に規定する事務についても、社員等がその業務の執行に関し注意を怠らなかつたことを証明しなければ、依頼者に対する損害賠償の責めを免れることはできない。

第30条の7(登記)
 弁護士法人は、政令で定めるところにより、登記をしなければならない。
2 前項の規定により登記をしなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

第30条の8(設立の手続)
 弁護士法人を設立するには、その社員になろうとする弁護士が、定款を定めなければならない。
2 会社法(平成17年法律第86号)第30条第1項の規定は、弁護士法人の定款について準用する。
3 定款には、少なくとも次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 目的
二 名称
三 法律事務所の所在地
四 所属弁護士会
五 社員の氏名、住所及び所属弁護士会
六 社員の出資に関する事項
七 業務の執行に関する事項

第30条の9(成立の時期)
 弁護士法人は、その主たる法律事務所の所在地において設立の登記をすることによつて成立する。

第30条の10(成立の届出)
 弁護士法人は、成立したときは、成立の日から2週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。

第30条の11(定款の変更)
 弁護士法人は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によつて、定款の変更をすることができる。
2 弁護士法人は、定款を変更したときは、変更の日から二週間以内に、変更に係る事項を所属弁護士会及び日本弁護士連合会に届け出なければならない。

第30条の12(業務の執行)
 弁護士法人の社員は、定款で別段の定めがある場合を除き、すべて業務を執行する権利を有し、義務を負う。

第30条の13(法人の代表)
 弁護士法人の業務を執行する社員は、各自弁護士法人を代表する。
2 前項の規定は、定款又は総社員の同意によつて、業務を執行する社員中特に弁護士法人を代表すべき社員を定めることを妨げない。
3 弁護士法人を代表する社員は、弁護士法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
4 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
5 弁護士法人を代表する社員は、定款によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる

第30条の14(指定社員)
 弁護士法人は、特定の事件について、業務を担当する社員を指定することができる。
2 前項の規定による指定がされた事件(以下「指定事件」という。)については、指定を受けた社員(以下「指定社員」という。)のみが業務を執行する権利を有し、義務を負う。
3 指定事件については、前条の規定にかかわらず、指定社員のみが弁護士法人を代表する。
4 弁護士法人は、第一項の規定による指定をしたときは、指定事件の依頼者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
5 依頼者は、その依頼に係る事件について、弁護士法人に対して、相当の期間を定め、その期間内に第一項の規定による指定をするかどうかを明らかにすることを求めることができる。この場合において、弁護士法人が、その期間内に前項の通知をしないときは、弁護士法人は、その後において、指定をすることができない。ただし、依頼者の同意を得て指定をすることを妨げない。
6 指定事件について、委任事務の結了前に指定社員が欠けたときは、弁護士法人は、新たな指定をしなければならない。その指定がされなかつたときは、全社員を指定したものとみなす。
7 社員が一人の弁護士法人が、事件の依頼を受けたときは、その社員を指定したものとみなす。

第30条の15(社員の責任)
 弁護士法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯してその弁済の責めに任ずる。
2 弁護士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。
3 前項の規定は、社員が弁護士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。
4 前条第一項の規定による指定がされ、同条第四項の規定による通知がされている場合(同条第六項又は第七項の規定により指定したものとみなされる場合を含む。)において、指定事件に関し依頼者に対して負担することとなつた弁護士法人の債務をその弁護士法人の財産をもつて完済することができないときは、第一項の規定にかかわらず、指定社員(指定社員であつた者を含む。以下この条において同じ。)が、連帯してその弁済の責めに任ずる。ただし、脱退した指定社員が脱退後の事由により生じた債務であることを証明した場合は、この限りでない。
5 前項の場合において、指定事件に関し依頼者に生じた債権に基づく弁護士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときは、指定社員が、弁護士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明した場合を除き、同項と同様とする。
6 第4項の場合において、指定を受けていない社員が指定の前後を問わず指定事件に係る業務に関与したときは、当該社員は、その関与に当たり注意を怠らなかつたことを証明した場合を除き、指定社員が前二項の規定により負う責任と同一の責任を負う。弁護士法人を脱退した後も同様とする。
7 会社法第612条の規定は、弁護士法人の社員の脱退について準用する。ただし、第四項の場合において、指定事件に関し依頼者に対して負担することとなつた弁護士法人の債務については、この限りでない。

第30条の16(社員であると誤認させる行為をした者の責任)
 社員でない者が自己を社員であると誤認させる行為をしたときは、当該社員でない者は、その誤認に基づいて弁護士法人と取引をした者に対し、社員と同一の責任を負う。

第30条の17(社員の常駐)
 弁護士法人は、その法律事務所に、当該法律事務所の所在する地域の弁護士会(その地域に二個以上の弁護士会があるときは、当該弁護士法人の所属弁護士会。以下この条において同じ。)の会員である社員を常駐させなければならない。ただし、従たる法律事務所については、当該法律事務所の所在する地域の弁護士会が当該法律事務所の周辺における弁護士の分布状況その他の事情を考慮して常駐しないことを許可したときは、この限りでない。

第30条の18(特定の事件についての業務の制限)
 弁護士法人は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その業務を行つてはならない。ただし、第三号に規定する事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
二 相手方の協議を受けた事件で、その協議の程度及び方法が信頼関係に基づくと認められるもの
三 受任している事件の相手方からの依頼による他の事件
四 社員等が相手方から受任している事件
五 第25条第一号から第七号までに掲げる事件として社員の半数以上の者が職務を行つてはならないこととされる事件

第30条の19(他の弁護士法人への加入の禁止等)
 弁護士法人の社員は、他の弁護士法人の社員となつてはならない。
2 弁護士法人の社員は、他の社員の承諾がなければ、自己又は第三者のために、その弁護士法人の業務の範囲に属する業務を行つてはならない。ただし、法令により官公署の委嘱した事項を行うときは、この限りでない。
3 弁護士法人の社員が前項の規定に違反して自己又は第三者のためにその弁護士法人の業務の範囲に属する業務を行つたときは、当該業務によつて当該社員又は第三者が得た利益の額は、弁護士法人に生じた損害の額と推定する。

第30条の20(弁護士法人の社員等の汚職行為の禁止)
 弁護士法人の社員等は、その弁護士法人が受任している事件に関し、相手方から利益の供与を受け、又はその供与の要求若しくは約束をしてはならない。
2 弁護士法人の社員等は、その弁護士法人が受任している事件に関し、相手方から当該弁護士法人に利益を供与させ、又はその供与の要求若しくは約束をしてはならない。

第30条の21(弁護士の義務等の規定の準用)
 第20条第1項及び第2項、第21条、第22条、第23条の2、第24条並びに第27条から第29条までの規定は、弁護士法人について準用する。

第30条の22(法定脱退)
 弁護士法人の社員は、次に掲げる理由によつて脱退する。
一 定款に定める理由の発生
二 総社員の同意
三 死亡
四 第7条第一号又は第三号から第五号までのいずれかに該当することとなつたとき。
五 第11条の規定による登録取消しの請求をしたとき。
六 第57条第1項第二号から第四号までに規定する処分を受けたとき又は第13条第1項の規定による登録取消しが確定したとき。
七 第30条の30第1項において準用する会社法第859条の規定による除名


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