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公職選挙法に基づく寄附の禁止復習-菅原一秀前経産相辞任劇で

令和 1年10月28日(月):初稿
○後記の「経産相辞任 議員辞職も免れない」との東京新聞社説で厳しく指摘されている菅原一秀前経産相辞任劇で、公職選挙法の復習です。
この公職選挙法の規制に関しては、加西市HP「公職選挙法に基づく寄附の禁止」に分かりやすくまとめられています。

○菅原議員、自ら通夜に参列して香典を渡すつもりで居たのが、公務で参列できなくなり、秘書に香典を持たせて参列させて、秘書が菅原議員名義の香典を渡したようです。公選法は議員「自ら出席」、「自ら弔問」と「自ら」をハッキリ規定していますので、秘書が菅原氏名義香典を渡すことを菅原議員自身が認識していたら完全なアウトです。

○後記記事によると菅原議員は、翌日、本人が弔問して直接香典を渡したとのことですが、だとすると前日の秘書が渡した香典については、菅原議員が、自分の香典と認識していたかどうかちと微妙です。起訴されるかどうかは微妙な事案と思われます。

○繰り返しますが、政治家が自分の選挙区内の住民や団体に金品を贈ることが出来るのは、
政治家本人が自ら出席する
(1)結婚披露宴における祝儀
(2)葬式や通夜における香典

だけです。
「自ら出席」する「結婚披露宴」、「葬儀・通夜」以外での金品の授与は全てアウトです。盆暮れの挨拶でも「結婚披露宴」、「葬儀・通夜」以外は、金品授与は一切ダメです。「金」だけでなく線香・うちわ・カレンダー等少しでも価値のある「品」もダメです。1個の価値は薄くても(廉価でも)、広く頒布すれば、結構なお金がかかり、お金のかからない政治実現の趣旨に反するからです。

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公職選挙法
第249条の2(公職の候補者等の寄附の制限違反)
 第199条の2第1項の規定に違反して当該選挙に関し寄附をした者は、1年以下の禁錮こ 又は30万円以下の罰金に処する。

2 通常一般の社交の程度を超えて第199条の2第1項の規定に違反して寄附をした者は、当該選挙に関して同項の規定に違反したものとみなす。

3 第199条の2第1項の規定に違反して寄附(当該選挙に関しないもので、かつ、通常一般の社交の程度を超えないものに限る。)をした者で、次の各号に掲げる寄附以外の寄附をしたものは、50万円以下の罰金に処する。

一 当該公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)が結婚披露宴に自ら出席しその場においてする当該結婚に関する祝儀の供与

二 当該公職の候補者等が葬式(告別式を含む。以下この号において同じ。)に自ら出席しその場においてする香典(これに類する弔意を表すために供与する金銭を含む。以下この号において同じ。)の供与又は当該公職の候補者等が葬式の日(葬式が2回以上行われる場合にあつては、最初に行われる葬式の日)までの間に自ら弔問しその場においてする香典の供与

4 第199条の2第2項の規定に違反して寄附をした者(会社その他の法人又は団体にあつては、その役職員又は構成員として当該違反行為をした者)は、50万円以下の罰金に処する。
5 第199条の2第3項の規定に違反して、公職の候補者等を威迫して、寄附を勧誘し又は要求した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮こ 又は30万円以下の罰金に処する。
6 公職の候補者等の当選又は被選挙権を失わせる目的をもつて、第199条の2第3項の規定に違反して第3項各号に掲げる寄附(当該選挙に関しないもので、かつ、通常一般の社交の程度を超えないものに限る。)以外の寄附を勧誘し又は要求した者は、3年以下の懲役若しくは禁錮こ 又は50万円以下の罰金に処する。
7 第199条の2第4項の規定に違反して、当該公職の候補者等以外の者(当該公職の候補者等以外の者が会社その他の法人又は団体であるときは、その役職員又は構成員)を威迫して、寄附を勧誘し又は要求した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮こ 又は30万円以下の罰金に処する。

第199条の2(公職の候補者等の寄附の禁止)
 公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。

 ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者等の親族に対してする場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会(参加者に対して饗きよう 応接待(通常用いられる程度の食事の提供を除く。)が行われるようなもの、当該選挙区外において行われるもの及び第199条の5第4項各号の区分による当該選挙ごとに当該各号に定める期間内に行われるものを除く。以下この条において同じ。)に関し必要やむを得ない実費の補償(食事についての実費の補償を除く。以下この条において同じ。)としてする場合は、この限りでない。

2 公職の候補者等を寄附の名義人とする当該選挙区内にある者に対する寄附については、当該公職の候補者等以外の者は、いかなる名義をもつてするを問わず、これをしてはならない。ただし、当該公職の候補者等の親族に対してする場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償としてする場合は、この限りでない。

3 何人も、公職の候補者等に対して、当該選挙区内にある者に対する寄附を勧誘し、又は要求してはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者等の親族に対する寄附を勧誘し、又は要求する場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償としてする寄附を勧誘し、又は要求する場合は、この限りでない。

4 何人も、公職の候補者等を寄附の名義人とする当該選挙区内にある者に対する寄附については、当該公職の候補者等以外の者に対して、これを勧誘し、又は要求してはならない。ただし、当該公職の候補者等の親族に対する寄附を勧誘し、又は要求する場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償としてする寄附を勧誘し、又は要求する場合は、この限りでない。


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東京新聞2019年10月26日社説
経産相辞任 議員辞職も免れない


公設秘書が支援者の通夜で香典を渡したとの週刊誌報道を受け、菅原一秀経済産業相が辞任した。国会審議への影響を懸念したのだろうが、事実なら公職選挙法違反に当たる。議員辞職も免れまい。

「政治とカネ」の問題が厳しく問われる時代になってからも、こんなことがいまだに行われていたことに驚きを禁じ得ない。

公職選挙法は政治家が選挙区内で寄付することを禁じている。有権者の「票」を「カネ」で買収するような不正選挙をなくすためであり、違反すれば50万円以下の罰金が科される。

政治家本人が葬儀に出席し、香典を出した場合には適用されないが、菅原氏の場合、秘書が香典を手渡していた。菅原氏の説明によると、菅原氏本人も翌日、香典を持参したが、一つは遺族から返されたという。このことは秘書が持って行った香典も、菅原氏からのものだった証左だろう。

菅原氏を巡っては、2006~07年のお中元やお歳暮の時期に選挙区内の有権者にメロンなどの贈答品を配っていたと、週刊誌が経産相就任後に報道していた。

このこと自体、事実なら公選法違反の疑いが免れないが、秘書が香典を持参したのは、国会で贈答品問題が追及されている最中だ。

当選1、2回の若手議員ならまだしも、菅原氏は練馬区議や東京都議を経て衆院議員となり、閣僚に起用された中堅議員である。秘書を含めて「政治とカネ」に対する無理解が過ぎるのではないか。

寄付行為を巡っては、氏名入りの線香セットを配った公選法違反容疑で書類送検された小野寺五典衆院議員が00年に議員を辞職。その後、罰金と公民権停止3年の略式命令を受けた。

14年には、氏名入りのうちわを配った松島みどり法相が公選法違反の疑いを指摘され、法相を辞任した経緯がある。

同様のことがいまだに行われていないか、すべての議員がいま一度、総点検すべきであろう。

安倍晋三首相は辞表受理後「任命責任は私にあり、こうした事態になったことを国民に深くおわびする」と述べたが、どう責任を取るのかを明確にすべきだ。責任があると言うだけでは、責任を取ったことにはならない。

そもそも首相ら政権中枢は、菅原氏を巡る疑惑浮上後も「本人が説明する」というだけで、積極的に解明しようとはしなかった。そうした姿勢こそが問われるべきであり、猛省すべきである。
以上:3,721文字

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