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”アジアの司法IT化進む ネットで裁判完結も ”紹介

令和 1年 8月11日(日):初稿
○「”裁判手続等のIT化検討会”第9回会議配付資料-最新資料紹介」で首相官邸HPの「裁判手続等のIT化検討会」令和元年5月31日開催第9回が最新の検討会の会議配付資料を紹介していました。しかし、以下の記事とみると、日本の司法IT化が如何に遅れているかが判ります。

○韓国では10年から裁判手続きのIT化が始まっており、中国では、電子商取引に関する紛争などに限ってですが、すべてオンラインで実施する「インターネット法院」で、原告、被告は提訴から判決まで手続きをネットで済ませているとのことです。世界銀行の2019年のビジネス環境ランキングで、日本の司法の利便性は52位と出遅れているとの記事も納得できます。

○日本では、準備書面等裁判書類をFAXで裁判所の担当部署FAX番号に送付することは認められていますが、FAX送付書類はアナログ書類で磁気データではないためデータとしての価値が乏しく、見にくく大変不便です。担当部署FAX番号を担当部署メールアドレスに変えて、せめて準備書面等裁判書類をPCワープロファイルやPDFファイルとしてメール送付するくらいは、今すぐにでもできそうなものですが、これすらいまだ完全には認められておらず、裁判所にはCDやDVDで届けています。

○仙台地裁でも令和2(2020)年2月からウエブ会議等のITツールを活用した争点整理の運用が開始されるとのことですが、それよりも先に書面の電子送信化だけでも早く実現して貰いたいところです。

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アジアの司法IT化進む ネットで裁判完結も ビジネス紛争をスピード処理
ネット・IT エレクトロニクス 法務・ガバナンス 2019/8/4 11:30日本経済新聞 電子版


アジアで民事裁判手続きのIT(情報技術)化が急速に進んでいる。韓国は最新システム導入のため、4年間で約100億円を投じる。新たなIT施設もつくる計画だ。中国では一部の都市で電子商取引に関する紛争の裁判手続きをインターネットで行う。日本もビジネス紛争のスムーズな解決に向けて司法インフラのIT化を検討しているが、アジア各国のスピードは速く、周回遅れとなる可能性がある。(江藤俊也)

■韓国 2021年にもデータ保管の新センター
韓国・ソウル市中心部から地下鉄を乗り継いで約1時間。郊外の野塔駅(城南市)から5分ほど歩いたところに、韓国の司法ITシステムの中枢を担う大法院(最高裁)のITセンターがある。
2008年に完成した建物は地上5階、地下2階建て。3階に管制センターがあり、職員らが24時間態勢で張り付き、「大型モニターでシステム異常などに目を光らせる」(大法院の担当者)。温度21度、湿度50%に保たれた隣の部屋では約2000台のサーバーが稼働している。

インターネットで書類を提出し、裁判記録は電子化する――。韓国では10年から裁判手続きのIT化が始まった。まず特許訴訟から導入され、15年までに民事や家事、倒産と対象が広がった。「紙」の書類による訴訟も選べるが、18年時点で「電子」訴訟の利用率は71%(一審)を超える。
IT化の最大の効果は利便性の向上だ。24時間アクセスできるうえ、「ペーパーレス化で、記録保管のスペースが大幅に減った」(金・張法律事務所の趙貴章弁護士)。相手方が書類を提出すると、裁判所がメールで即座に通知する仕組みもあり、柳宗熙法務士は「作業が効率化できるようになった」と語る。

データの蓄積も進む。直近のデータ量は約70テラ(テラは1兆)バイト。A4用紙に換算すると、約252億枚分だ。増大するデータの保管に備えるため、大法院のIT責任者、ミン・ドンウォン氏は「21年に第2のITセンターを立ち上げる」と話す。
最先端の技術を導入するため、これまで改良を重ねてきた既存システムも見直す。ミン氏は「今後4年かけて100億円規模の予算で最新システムを開発する」と語る。

■中国 一部都市ではネットで裁判完結も
中国では一部の都市で電子商取引に限り、裁判の手続きをオンライン化(北京市内にある最高人民法院)

IT化が活発なのは韓国だけではない。中国やシンガポールでも、ネットを使った効率化が進む。小野寺良文弁護士が「過小評価してはならない」と注目しているのは、中国だ。
中国では杭州、北京など一部の都市で、電子商取引に関する紛争などに限って、すべてオンラインで実施する「インターネット法院」が導入された。原告、被告は提訴から判決まで手続きをネットで済ませ、審理もインターネットを活用する。

中国の最高人民法院(最高裁)によると、杭州では過去1年間、1回あたりの審理時間が平均28分、判決までの審理期間が平均41日というスピードだ。従来より4割ほど短縮できたという。
中国では19年4月からスマートフォンのアプリを通じ、すべての手続きを行う「移動微法院」が13の省と市で試験運用されている。北陸大学の胡光輝教授は「一般の民事裁判も対象としており、便利な仕組み」とみる。

欧米諸国は、共産党の一党独裁下にある中国には三権分立はないと指摘してきた。海外からの批判や訴訟の増加に伴い、中国は急ピッチで制度を整えようとしている。

シンガポール最高裁はAIを活用する=ロイター
1990年代からIT化に取り組んできたのがシンガポールだ。シンガポール最高裁の担当者は「人工知能(AI)を使い、法廷での弁論内容を自動的に文字化する実験をしている。早ければ19年中に実現できそうだ」と打ち明ける。
日本でも18年夏からIT化に向けた検討が進む。現行の「紙・郵送・対面」による手続きを電子化するには法改正が必要な領域が多いが、手順や移行計画は固まっておらず、「IT導入のスピードを上げる必要がある」(日本大学・杉本純子教授)というのが司法関係者に共通する危機感だ。

■日本は利便性52位
世界銀行の2019年のビジネス環境ランキングで、日本の司法の利便性は52位と出遅れている。民事裁判手続きのIT化は、弁護士や大学教授で構成する研究会(座長・山本和彦一橋大学教授)が年内にも報告書をまとめ、20年2月に予定される法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針だ。
研究会では訴状など文書のオンライン提出を導入する際、電子化に一本化せず、書面による手続きも可能とするかどうかが議論になっている。ITに不慣れな人が裁判を受けにくくなる懸念があり、条件付きで「紙」を認める案が出ている。

法制審による審議を経て法相への答申は22年ごろの予定だ。その後、国会で関連法の改正案が審議され、IT化が完全に実現するのは23年以降となる見通しだ。
国内で議論が続く間もアジアでは着々とIT化が進む。ベトナムは今後3年間で韓国の支援を受けてシステムを開発する準備を進めている。
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