令和 1年 7月24日(水):初稿 |
○「”裁判手続等のIT化検討会”第5回会議配付資料-手続段階毎IT化視点2」の続きで、平成30年3月30日開催裁判手続等のIT化検討会(第8回)配布資料を紹介します。 ○このときの配付資料は「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ(案)」として首相官邸HPに掲載されています。「3つのe」の実現に向けてとのサブタイトルがついており、この「3つのe」についての備忘録です。 ・「3つのe」とは、 『民事訴訟手続における ①e提出(e-Filing)、 ②e法廷(e-Court)、 ③e事件管理(e-Case Management) の実現(「3つのe」)を目指す』という観点から、検討を進め、実現を図っていくとのことです。 裁判手続等のIT化検討会最新資料「民事訴訟手続のIT化の検討状況」によるIT化のメリット 実現すれば良いことずくめです。但し、モタモタできなくなるとのデメリットもあります(^^;)。 ○訴訟記録は全て電子化して訴訟記録は紙媒体を使わないことになれば、分厚い訴訟記録から解放され、ホントに有り難いことです。 問題は、訴状の被告への送達方法です。どのようにするかは、まだ検討中のようです。PCがない被告の場合どうするか問題です。 事件管理は、裁判所が事件毎に管理し、当事者はWEB経由でオンラインアクセスにより閲覧・複写が可能になります。裁判所PCのHDに各事件毎のフォルダを作り、そのフォルダに当事者毎の事件ID、パスワード等を入力してTeamViewerのようなリモートアクセスソフトによってアクセスする方式になると思われます。 MicrosoftTeamsと言うソフトを利用してWEB会議として期日を運営予定とのことで、これによりいちいち裁判所に出頭しなくても良くなれば最高です。 訴状・準備書面等書面はワード・エクセルで統一されるようです。桐からエクセル書き出しはできるのですが、ワード書き出しはできません。そこで当事務所桐システムにワード書面化のイベント等が必要になります。 ○以下、「3つのe」の総論部分抜き書きです。 2 e提出(e-Filing)について (1) 総論 利用者目線から見れば、e提出(e-Filing)の実現として、紙媒体の裁判書類を裁判所に持参・郵送等する現行の取扱いに代えて、24時間365日利用可能な、電子情報によるオンライン提出へ極力移行し、一本化していく(訴訟記録について紙媒体を併存させない)ことが望ましい。 (2) 訴状の裁判所への提出 利用者目線に立ち、e提出(e-Filing)による民事訴訟手続の全面IT化を目指す観点からは、紙媒体の訴状を裁判所に提出する現行の取扱いに代えて、オンラインでの訴え提起(紙媒体で作成されたものの電子化を含む)に移行していく方向性が相当である。なお、訴え提起段階における裁判所に対する具体的なアクセス方法としては、裁判所の専用システム(新たに立ち上げる必要がある)へのアップロードなど様々な方法が考えられるが、電子メールによる方法は、誤送信のリスクや到達確認の困難さ等の問題があるから、慎重に考えるべきである。 また、訴え提起に際して証拠書類、委任状等を提出する場合も、訴状と同様、電子化したものを提出することで足りると考えられる。 (4) 訴状や判決書の送達 裁判所による郵送での書面の送達を原則とする現行の取扱いについて、訴訟記録の電子化を推進し、電子記録と紙媒体との併存を極力避け、オンライン利用を促進する見地から、改めて検討する必要がある。その際には、職権により書面で送達を行う現行の取扱いの見直しを含めて、訴訟記録の電子化に即した送達の在り方の検討を行うのが相当である。 (5) 答弁書その他準備書面等のやり取り 被告からの答弁書等の提出、その後の双方当事者の準備書面等の提出、あるいは当事者間におけるやり取りについても、同様に、オンラインでの迅速かつ効率的に行うための方策を検討する必要がある。 3 e事件管理(e-Case Management)について (1) 総論 利用者目線から見ると、e事件管理(e-Case Management)の実現として、裁判所が管理する事件記録や事件情報につき、訴訟当事者(当事者本人及び訴訟代理人双方)が、随時かつ容易に、訴状、答弁書その他の準備書面や証拠等の電子情報にオンラインでアクセスすることが可能となり、期日の進捗状況等も確認できる仕組みが構築されることが望ましい。これにより、裁判手続の透明性も高まるし、当事者や代理人が紙媒体の裁判記録を自ら持参・保管等する負担から解放される効果も期待できる。 4 e法廷(e-Court)について (1) 総論 e法廷(e-Court)の実現として、利用者目線からは、当事者等の裁判所への出頭の時間的・経済的負担を軽減するため、また、期日にメリハリを付けて審理の充実度を高めるため、民事訴訟手続の全体を通じて、当事者の一方又は双方によるテレビ会議やウェブ会議(前記第2の1(1)参照)の活用を大幅に拡大するのが望ましい。 (2) 第1回口頭弁論期日 第1回口頭弁論期日につき、擬制陳述制度のために当事者の一方が出頭せず、期日が形式的なものとなることが少なくない現行の取扱いについて、IT技術を活用したe法廷の実現として、期日の在り方を含め、民事訴訟のプラクティスの必要な見直しを図ることが望まれる。 具体的には、第1回期日段階から、当事者の一方又は双方によるテレビ会議やウェブ会議(例えば、最寄りの裁判所や弁護士事務所等に所在して対応)を活用して実質的な審理を行い、さらには、電子記録となった訴訟記録を有効に活用し、紙媒体の存在を前提としない審理を行うことが考えられる。 以上:2,345文字
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