平成30年 7月14日(土):初稿 |
○宝島社新書カラー版「素顔の田中角栄―密着!最後の1000日間」を購入しました。「田中角栄」との文字が入った書籍は見境なく購入してきましたが、この書籍の表紙に使用された田中角栄氏の表情がこれまで見たことのない表情なのが強く印象に残りました。この表情の説明は、「列車を待つ間、ホームで見せたキングメーカー角さんのしかめっ面。一抹の孤独感も漂う。」とされています。 ○田中角栄氏は平成5年12月16日午後2時4分、甲状腺機能障害に肺炎を併発して死去されましたが、喪主はな夫人に代わって長女真紀子氏が「父の口癖は『お米を粗末にしないで欲しい』でした。おふくろの汗の結晶だから。天を敬い、人を愛し、感謝の念を忘れなければ、恐れることは何もない。今日はクリスマス。(合同葬という)プレゼントをありがとうございました。父は幸せ者です。」と挨拶されました。 ○しかし、この著作の表紙に使われた角栄氏の表情が、角栄氏ご本人のご自分の人生に対する思いを伝えているようにも感じました。角栄氏は、普通の人の何百倍、何千倍の大活躍をされ、一国の長にも上り詰め、僅か一代で公表された分だけで100数十億円の財をなした、正に物凄いとしか言いようのない方でした。 ○しかし、ご本人としては、刑事被告人の汚名をそそげず、総理大臣復活の目もなくなり、苦労して築いてきた派閥も乗っ取られ、67歳で脳梗塞で倒れた後の晩年は自ら動くことができなくなり、長女真紀子氏の意のままに秘書の早坂氏等かつての仲間との絆も断たれ、「幸せ者」どころではなく、不遇の人生だったとの思いを残しての旅立ちだったのかも知れません。 ○しかし、日本の政治家でおそらく200冊を超える関係書籍が刊行され、刊行された書籍は、「田中角栄」との文字が入った書籍は見境なく購入する膨大な数のファンに支えられて一定数以上売れる人は、田中角栄氏唯一人と思います。その人気の源泉は、「人を愛し、感謝の念を忘れない」ところと確信しています。 ○逆境に強いと言われた田中角栄氏ご本人の次の言葉を備忘録とします。「私は逆境に強いということはないよ。平穏無事がいいが、避けられぬさだめであれば決して逃げ出さない。吹雪は一点にわかにかき曇るからね。吹雪がガッと来た時は、しばし待つ。雪のなかでは、人間全部運命論者になる。新潟生まれは大体みなそうだよ。」 以上:970文字
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