平成30年 2月 9日(金):初稿 |
○平成17年3月に初めて日弁連業務改革委員会サンフランシスコ視察旅行に参加し、その感想の一つを「サンフランシスコ報告5-法廷の補聴システムに大大感激」に「このようにサービス精神溢れる法廷になるのは法廷を主催する裁判官が民選だからと思われます。裁判官は最初は選挙か申請による知事の任命ですが6年の任期後の再選は必ず選挙で選ばれるそうで、6年後の選挙を考えると裁判官は威張ってばかり居られません。サービス精神も必要になります。裁判官は民が選ぶべきと痛感した次第です。」と記載していました。 ○今般、ある勉強会でアメリカの裁判官任命制度についてレポートすることになり、丸山徹氏著「入門・アメリカの司法制度」と浅香吉幹氏著「現代アメリカの司法」を購入して読み始めています。以下、「入門・アメリカの司法制度」134頁以下の、州裁判所裁判官の任命方式備忘録です。 ・アメリカ法制度は,連邦法と州法の二重構造で、原則は、州法が適用になる 以下、州法での裁判所・裁判官システムです。 (裁判所名称) ・州地裁は、郡ごとに置かれ、郡は州より小さく市より大きい行政単位。 ・州裁判所の名称は統一性がない、 ・例えば一審裁判所についてカリフォルニア州は上級裁判所、ケンタッキー州では巡回裁判所、アイオワ州では地区裁判所、ペンシルバニア州ではCourt of Commom Pieasとそれぞれ異なる名称で呼ばれる ・ニューヨーク州では、マンハッタンの州地裁の名称はなんと「最高裁」 ・50州の裁判所の名称一覧表をみると裁判所名称の非統一性が一目瞭然 ・多くの州は、地裁、高裁、最高裁の三審制だが、一部は地裁、最高裁の二審制 (裁判官選出方式) ・州裁判所裁判官選考方式は州によって異なる ・一番多いのはメリット・セレクション・システム-マサチューセッツ・ハワイ等15州で採用 民主党・共和党の両党派のメンバーからなる委員会が3~5名の裁判官候補者を選び、その中から一人を知事が任命し、郡内で信任投票が行われ、一定以上の票を獲得すれば裁判官と認められる ・次に多いのが直接選挙方式 無党派選挙方式は無制限に候補者を募り、最多得票者が当選し裁判官となる-ジョージア・アイダホ等13州で採用 党派選挙は民主・共和両党がそれぞれ一人ずつ予備選などで候補者を一人に絞り、一騎打ちの投票?で決まる-ペンシルバニア、テキサスなど8州で採用 ・知事の任命は、カリフォルニア、メーンなど4州 議会の任命は、バージニア州 (裁判官任命資格) ・弁護士資格獲得後、州の検事や弁護士として10年以上活動した人が判事になることが多い ・選挙で選ぶ州では、法律家として優れているだけなく、政治的にも活発で、党の有力者と深く繋がっていることが必要な場合もある ・州裁判所裁判官は、連邦地裁裁判官より、政治性・党派制が濃厚で、知事が任命する場合は、選挙の論功行賞人事になりやすい (裁判官任期等) ・4~8年 ・再選挙に勝てば何期でも認められるが概ね定年は70歳 ・ニューヨーク州は、メリット・セレクション・システムと選挙を併用して選任するが、選挙の場合1期14年で何期でも務められ70歳定年 ・マサチューセッツ・ニューハンプシャー、ロードアイランド各州は定年制無し 以上:1,330文字
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