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”裁判手続等のIT化検討会”第3回会議配付資料紹介

平成30年 1月21日(日):初稿
「首相官邸HP」「日本経済再生本部」「裁判手続等のIT化検討会」の平成29年12月27日開催第3回会議「裁判手続等のIT化の検討に当たって考えられる論点整理」資料が公開されています。その資料が参考になりますので紹介します。
第1回会議議事録での「地方裁判所の民事第一審通常訴訟の件数は平成28年では14万8000件余である。うち双方に代理人弁護士が選任された事件が半分弱の43%程度であり、それ以外はどちらか一方が少なくとも本人訴訟である。双方本人という訴訟も2割弱、2万件程度ある。」との記述が気になりました。

○私が取り扱っている地裁民事訴訟事件30件弱の内相手方が本人訴訟は3件程度の10%程度で、地裁訴訟事件は8割程度は双方弁護士がついていると思っていました。しかし、実際は43%だけとのことで、地裁でも半分以上は双方本人訴訟のようです。訴訟事件は、時間も労力もかかり、コスト的に合わない面があり、お金を稼げる弁護士は遠慮する傾向が強いことも影響しているのでしょうか。余りお金を稼げない私は、訴訟事件は割に合わないと遠慮する余裕がありませんが(^^;)。

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                           資料 1平成29年12月27日

裁判手続等のIT化の検討に当たって考えられる論点整理案


1 IT化のニーズに関する現状分析 【本検討会で議論・方向性】
(1) 弁護士等の専門家、事業者、消費者といった裁判手続利用者から見た場合、裁判手続等のIT化には、相当に強いニーズがあるのではないか。

(2) 社会のすう勢、行政手続や諸外国におけるIT化の状況を見た場合、社会インフラとしても、国際的にも、IT化が遅れているとの指摘があるため、我が国の裁判手続等には更なるIT化を進めるべき部分があり、利用者の立場から、速やかな取組が期待される状況にあるのではないか。

(3) 国民の司法アクセス向上、裁判手続の迅速・効率化、紛争解決インフラの国際競争力強化、裁判に関わる事務軽減等の観点から、裁判手続等のIT化を進める必要があるのではないか。利用者の立場から見た場合、裁判手続等のIT化の内容や方向性として、どのようなものが望まれるか(法理論的・実務的観点は別途議論)。

2 諸外国の動向等 【本検討会で議論・方向性】
(1) 諸外国の制度内容、運用に関する調査を踏まえた比較検討が必要ではないか。

(2) その上で、我が国の国民性や裁判手続利用者の意識、さらには我が国の法制度、運用も勘案した上で、我が国における裁判手続等のIT化の内容、方向性を検討する必要があるのではないか。その観点から、我が国の特性として、どのような点が考えられるか。

3 考えられる基本的方向性 【本検討会で議論・方向性】
(1) 利用者から見て、裁判手続等のIT化の基本理念や基本的方向性を、どのように考えるか。行政手続IT化の3原則(デジタルファースト、コネクティッドワンストップ、ワンスオンリー)をどう評価するか。

(2) 利用者目線に立ち、適正・迅速で国民がより利用しやすい裁判を実現する達成手段として、裁判手続等のIT化が必要ではないか。裁判手続のIT化に当たっては、裁判所の業務の効率化や民事訴訟のプラクティス全体の在り方を見据えていく必要があり、現行の民事裁判手続を単にITに置き換えるものでは足りないのではないか。同時に、裁判手続の利便性等に関する国際競争も意識したIT化の水準を目指すべきではないか。

(3) オンライン申立て等に関する現行法の規定(民事訴訟法132条の10)を、どう考えるか。同規定の立法後のIT技術の進展等を踏まえ、訴えの提起・申立てからその後の手続に至るまで、基本的にペーパーの存在を念頭に置かないIT化への抜本的対応が必要ではないか。すなわち、裁判手続等の全面IT化を目指すべきではないか。

(4) 裁判手続等のIT化としては、利用者のニーズ等も踏まえ、民事裁判手続における①e提出(e-Filing)、②e法廷(e-Court)、③e事件管理(e-Case Management)の実現(「3つのe」)を目指すべきではないか。

(5) e提出(e-Filing)の実現として、利用者の観点から、どのような内容や方向性が期待されるか。その実現に当たり、利用者目線からは、原告・被告それぞれの立場から見て、どのような観点を考慮・検討することが望まれるか(利点・懸念の両面から)。
[検討の観点]訴状の裁判所への提出、手数料等の納付、裁判書類の被告への送達、準備書面や証拠等の提出等

(6) e法廷(e-Court)の実現として、利用者の観点から、どのような内容や方向性が期待されるか。その実現に当たり、利用者目線からは、争点整理、証拠調べ等の各段階において、どのような観点を考慮・検討することが望まれるか(利点・懸念の両面から)。
[検討の観点]テレビ会議等の利用、第1回口頭弁論期日、争点整理、証人等の尋問期日等

(7) e事件管理(e-Case Management)の実現として、利用者の観点から、どのような内容や方向性が期待されるか。その実現に当たり、利用者目線からは、どのような観点を考慮・検討することが望まれるか(利点・懸念の両面から)。
[検討の観点]事件の進行管理、期日の調整、訴訟記録の閲覧・謄写等

(8) 利用者から見て、上記「3つのe」の重要度・優先度や、実現に向けたプロセスをどのように考えるか。その議論のためには、訴え提起から判決言渡しまでの民事訴訟手続全体を、時系列として順に追ってみて、利用者の観点から見た裁判手続等のIT化の在り方を検討する必要があるのではないか。

(9) 裁判手続等のIT化に当たっては、民事裁判手続の基本かつ根幹である民事訴訟一般を念頭に置いた検討と制度設計が必要ではないか。この点は、利用者の利便性、効率性の向上の効果からも、そのように考えることができるのではないか。

(10) 破産手続など民事訴訟以外の手続については、民事訴訟全般のIT化の検討・設計を踏まえた方策の検討が必要ではないか。

(11) 民事訴訟事件のうち、全ての事件類型の民事訴訟手続についてIT化推進が必要ではないか。その中で、例えば、特定の庁(大規模庁やパイロット庁など)からの実施開始や、知的財産訴訟など専門訴訟からの段階的実施も、一案ではないか。

(12)今後の具体化に向けた工程・スケジュールについて、どう考えるか。

4 考えられるあい路・課題 【本検討会で議論・方向性】
(1) 裁判手続等のIT化に当たり、弁護士等の専門家は、十分に対応できるIT環境やスキルが備わっているのではないか。他方、IT化の推進においては、専門家のみでなく、本人訴訟の場合にも対応できるような制度・システム設計の検討が必要ではないか。

(2) 裁判手続等の全面IT化を前提とするべきではないか。その場合、本人訴訟の場合等に対応して、適切なサポート方策を講じることが必要ではないか。

(3) 裁判手続等のIT化を進めるに当たっては、電子情報そのものを裁判記録とする取扱いが適当ではないか。裁判記録として紙書類を併存させるとすると、裁判所や弁護士等の業務効率が低下するのではないか。

(4) 情報セキュリティに関わる問題など、裁判手続のIT化に向けたあい路になり得る点について、十分な対策が必要ではないか。裁判記録や裁判情報におけるセキュリティ水準やその対策の在り方については、行政機関や民間の取引におけるセキュリティ水準と同程度のもので足りるのではないか。

(5) 裁判手続等のIT化に伴う裁判期日や裁判情報の一般公開の在り方(オンライン公開等)については、裁判の公開原則とともに訴訟関係者の意識、プライバシー・企業情報への配慮等の様々な観点から、丁寧に検討していく必要があるのではないか。まずは、裁判手続利用者のニーズに沿う裁判手続等のIT化の検討を進めるべきではないか。

(6) 裁判手続等のオンライン利用の促進策(インセンティブ付与やITリテラシー支援策等)について、どう考えるか。

(7)訴訟関係者が外国にいる場合の対応について、どう考えるか。

(8) 裁判所内・間の手続や情報の連携、行政や民間との情報連携(API連携を含む)について、どう考えるか。

(9)その他

5 上記3.及び4.の検討結果を実現するために更なる検討を要する事項 【本検討会で今後の課題として指摘。その後の検討体制で検討】
(1) IT化を踏まえた手続モデルを念頭に置いた、民事訴訟手続の各場面・段階における実務的、法理論的な観点からの検討
(例)
・ 裁判制度の根本原理(公開原則、出頭原則等)との整合性、理論的整理
・ 民事訴訟の基本原則(直接主義、口頭主義等)との整合性、理論的整理
・ 民事訴訟における基本概念(「期日」「送達」「管轄」等)の整理、見直し

(2) 裁判手続等のIT化に伴う民事裁判関係事務の処理方法等の検討

(3) 裁判手続等のIT化に関するシステムの具体的設計・構築等に関する検討

(4) 裁判手続等のIT化の具体的導入方法やそのプロセス等の検討

(5) その他
以上:3,799文字

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