平成29年12月19日(火):初稿 |
○平成29年12月18日付日経新聞記事に弁護士や企業へのアンケート調査結果について「日本の司法インフラ 弁護士「不満」94% 審理スピードやデジタル化遅れ」と掲載されています。弁護士の94%が111人とありますので、回答弁護士数は僅か118人と思われますが、アンケート調査する弁護士をどのようにして抽出したのでしょうか。私にはアンケートがありませんでしたが(^^;)。 ○アンケート調査結果は以下の画像のとおりです。 ○審理のスピードが遅いことに対する不満が多く出されていますが、裁判官から言わせたらそれは弁護士さんのせいではありませんかと言われそうです。弁護士が、迅速に必要書面を提出すれば裁判の早く進行する場面も相当あります。審理のスピードに関しては、裁判官ばかり責められません。 ○私の不満は、何より迅速なデジタル化・データベース化の決定的な遅れです。やる気になれば判決なんて全てその日のうちにネット上に公開することが可能なはずです。裁判所で出す全判決を迅速にネット上に公開すれば貴重なデータベースになります。こんな簡単なことを何でやらないのか不思議で仕方ありません。判決期日の日時にネット公開すれば判決期日を開く必要もなく、いちいち裁判所に判決書を受領しに行く必要もありません。 ○訴状・準備書面等書面もデジタルデータでメール送受信が可能になれば、相当省力可出来るはずなのにこれも実現していません。証人尋問も速記をリアルタイム表示どころか、未だにそのデジタルデータさえ公開されず、紙に印刷したものをいちいち事務員がコピーに行くという一般社会ではおよそ信じられない非生産的なことを強いられています。 ○私は20年以上前のワープロ専用機時代から証人尋問調書を紙ではなく、デジタルデータファイルをコピーさせて欲しいと要請しているのですが、PC時代なって久しい今も実現していません。おそらく日本の官庁で最もデジタル化が遅れているのが裁判所です。何とかして欲しい! ********************************************* 日本の司法インフラ 弁護士「不満」94% 審理スピードやデジタル化遅れ 2017/12/18付日本経済新聞 朝刊 日本の司法インフラの使い勝手が良いと思うかを尋ねたところ、弁護士の94%(111人)、企業の61%(118社)が「思わない」と回答した。裁判の運用が、実務の需要に応えられていない現状が明らかになった。 「思わない」理由を2つまで聞いたところ、最多は弁護士、企業ともに「審理のスピード」で、それぞれ36%(40人)、76%(90社)だった。2016年に終結した全国の地裁での民事訴訟の平均審理期間は8.6カ月。事案が複雑になり、短縮が進みづらい傾向にある。 弁護士が挙げた理由でこれに次いで多かったのは「(相手方に証拠の開示を求める米国のような)ディスカバリーがない」(35%=39人)「損害賠償金額が少ない」(同)「電磁的方法による文書提出が原則認められない」(28%=31人)「判例や裁判記録がほとんどデータ化されていない」(27%=30人)など。米国の訴訟実務との比較から不満を持つことが多いほか、デジタル化への対応の遅れを指摘する声が目立った。 企業が日本の司法インフラへの不満として挙げた理由では「判例や裁判記録がほとんどデータ化されていない」(36%=42社)「電磁的方法による文書提出が原則認められない」(22%=26社)が続いた。デジタル化の遅れは訴訟の手間やコストに直結するため、企業にはより深刻な問題だ。 自由記述にはさらに詳細な例示があった。大手金融機関は「書面の提出方法がファクス、郵送などに限られ、諸外国と比較し電子化が遅れている」と記述。個人情報関連に詳しい岡村久道弁護士は「テレビ会議の活用がない」点を挙げた。 紛争処理の実務に通じた野宮拓弁護士は「海外では当然の、証人尋問の速記がリアルタイムで端末に映されるサービスが無い」と指摘した。速記録をその場で共有できると、弁護士が反対尋問をする際に活用できるほか、証人尋問終了後の調書が即日完成するため、審理全体の進行も早くなる。 税務訴訟が専門の弁護士からは「裁判官がビジネスを理解できておらず、判例の蓄積も少ないため、商事紛争の解決手段として裁判を活用しづらい」との記述もあった。 21年にも東京・中目黒に設置される予定の、ビジネス関係の訴訟を専門に扱う裁判所「ビジネス・コート」では、テレビ会議システムを整備し、専門性の高い裁判官が迅速に審理できる体制を整える計画だ。 以上:1,887文字
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