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渡邊大司先生の思い出-追悼文の渡邊大司講話から

平成29年 2月26日(日):初稿
○「渡邊大司先生の思い出-仙台弁護士会の田中角栄氏と実感」の続きです。
平成28年4月23日、仙台ガーデンパレスで、「渡邊大司先生を忍ぶ会」が開催され、「追悼文集-大司先生の思い出」が配布されました。この追悼文集には、仙台弁護士会の重鎮勅使河原安夫先生・青木正芳先生を始めとする弁護士70数名の追悼文が掲載されています。私もこのHPに掲載した文章をアレンジして掲載しました。

○その追悼文はいずれも渡邊大司先生から受けた薫陶・温情等に心から感謝するものですが、その中で片平法律事務所角山正弁護士が記述した34期司法修習時の大司先生講話メモ抜粋があり、大変、役に立ちます。以下、その備忘録です。角山正先生、転載をお許し下さい(^^;)。

・立証責任の分配
事実認定は裁判の基本で裁判所の職務。裁判官が心証を得られなかった場合、立証責任の問題となるが、これは民訴法に規定はなく、各実体法の構造の中にある。「立証は肯定するものにあり」が大原則。

・証明
裁判官から「反証はありませんか」と言われた場合、既に心証形成が終わっている可能性が強く、そこで「ありません」と答えたら負けてしまう。

・立証活動
理論的には、主張責任が立証責任の前提となるが、事実上は両者一体。但し積極否認と抗弁の区別をわきまえること。証拠提出にテクニックはなく、強いて言えば裁判所は書証を信じ、これに対する反証は極めて困難。

・反対尋問
反対尋問においてもテクニックなどない。前もって必ず尋問事項書を作る。少なくとも10数項目(更に手控えとして細分化したもの)

・証人との打ち合わせ
やるべきである。打ち合わせできない証人には不安が残る。しかし証人に出さないで敗訴すると依頼者に不満を残す。相手側証人を呼び出すのは、後で脅迫などと言われるリスクがあり、一人で会うのは拙い。

・立証準備
訴状を書く段階で立証計画も作る。書証・証人尋問申請書等証拠申出書を訴状と同時に出すようにすべき。

・研鑽
本を定期刊行物を除いた書籍2000冊以上集めてやっと一人前

・判決
できる限り判決を集めよ。他人のであれ自分のであれ、判決を読むことが一番勉強になる。集めて日頃から分類整理を心がけておくこと。

・不安感が大事
30年弁護士をやっているが、いまだに事件処理があれでよかったのかと不安におそわれ、夜、目が覚めることがある。むしろ、その不安感を持ち続けることが大切で、それをなくしたら終わりである。

・逸見先生のこと
逸見先生は、依頼者にまちがったことを教え、あとで気付くと率直に告げて、訂正していた。ノートを見ると依頼者との遣り取り、どういうことを教えたかが丁寧にメモしてあった。学ぶべき態度である。


以上:1,104文字

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