平成28年 4月26日(火):初稿 |
○三万人のための情報誌「選択」平成28年4月号に表記”女子高生が「出産しまくる」米国-「高校内に託児所」日本も見習え!”との記事が掲載されています。 その記事の中で私が感激したのは次の部分です。 望まぬ妊娠と生活苦―。暗いイメージが付きやすい十代の出産だが、逆境をものともしない人もいる。カリフォルニア在住のアイリンさんは、18歳のときに、シングルマザーとして長男のジムを出産した。高校卒業後はスーパーマーケットなどで働き、職場で出会った男性と結婚。苦しい家計の中、ジムは奨学金を得てボストンにある大学の歯学部に入学を果たした。さらに喜ぶべきはその同じ年、アイリンさんも長年の夢だった地元の大学に入学することができたことだ。2人はそろって、今年卒業を迎える。アイリンさんは、心理学カウンセラーとして第二の人生を歩む予定だ。○この記事では「グットマッカー研究所の報告によると、2010年に米国の15~19歳の女子1000人のうち妊娠をしたのは57人。このうち出産数は34人であった。日本では1000人あたり13人が妊娠。出産数は4人にとどまり、中絶率は53%にのぼる。米国のおよそ2倍の率で堕胎が選ばれている。」と紹介しています。 ○アメリカの女子高生妊娠率は、日本の女子高生の4.4倍、出産率は8.5倍となっており、少子高齢化に悩む日本とは対照的です。しかし、もう50年前になる私の高校時代、男女別学でしたが、同学年の女子高生が妊娠・出産したなんて話しを聞いたことがなく、今の日本の女子高生の1000人中13人が妊娠し4人が出産するというのは、当時の感覚からは多いかも知れません。 ○アメリの女子高生1000人の内57人が妊娠し34人が出産するというのは、17人の内1人が妊娠し、29人の内1人が出産することになりますので、妊娠・出産する女子高生が各クラスに必ず1人は居るということになります。これをもって女子高生が「出産しまくる」とまで言えるかどうかは別として日本の感覚とは相当異なります。 ○アメリカの女子高生がこれほど妊娠・出産が多いのは、「産める環境」が、米国には整っているからとのことです。それは、「過去の米国では、十代ママの低い教育レベルが問題になってきた。ほとんどの学校は、妊娠中の学生を追放し、中絶をしなければ復学できなかった。しかし1972年、教育に関与する性差別を禁止した「タイトルⅨ(教育改正法第9編)」という連邦法が成立したことで事態は一変する。タイトルⅨは、政府の支援を受けている教育機関やカリキュラム全体に適用される。妊娠中や育児中の生徒が学校教育を受ける権利が認められ、医学的な必要性があれば、彼女たちの欠席を学校は許可しなければならなくなったのだ。 タイトルⅨのおかげで、十代の女子の妊娠率の高い高校には『託児所』が設置されるようになった。高校内で子供を預けて授業を受けられるため、中退する生徒を減らし、卒業への道を開くことになった。ちなみに、米公立高校での教育は無料であり、高校の託児所ももちろん無料だ。学校によっては、おむつなどもタダで提供しているケースまである。」と説明されています。 ○また、「高校生ママという存在がさほど特殊ではなく、社会的に偏見なく受け入れられている」、「高校内託児所の誕生により、二つのマイナス点が改善されることになった。一つは中絶。もう一つは中退。出産しても高校生活が格段に続けやすくなったため、卒業できる若き母親が増えた。高校では美容師など、卒業後の就職に有利な技術を学べるようにもなり、シングルマザー困窮を解消する取り組みもなされている。」とのことで、前記アイリンさんの様な例も生まれています。 ○人口は、必ずしも多ければ良いというものではないようですが、少子高齢化社会に悩む日本でも少しは米国の例を見習っても良いかもしれません。 以上:1,586文字
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