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弁護士が街頭で事務所案内チラシ・ティッシュ等を配ることは?

平成26年 6月10日(火):初稿
○「福岡の架電弁護士のブログ」の平成26年6月6日付け「法テラスが聖域であることが公式に承認されました。」との記事に「法テラス北九州が、小倉駅前でティッシュ様の物品を配布していたことが、日弁連の定める広告規定に違反するのではないか」との問題を提起して、福岡弁護士会に照会したところ、同会から、「法テラスの役割は『総合法律支援事業』である。法律事務所とは違う。だから、広告規定の適用対象ではない。」との骨子の回答がきたとのことです。

○福岡の「法テラス」はそこまでやってるのと、驚きましたが、HP・TV等での「法テラス」の派手な宣伝ぶりをみると、さもありなんとの感もします。以前、弁護士会法律相談センターの最大の競業者は「法テラス」であり、弁護士会法律相談センター来訪者激減の理由は、「法テラス」と記載したことがありますが、これはもはや公知の事実と言っても良いでしょう。

○だから、「法テラス」をなんとかしろ、なんて野暮なことを言うつもりは全くありませんが、この弁護士が該当でチラシやティッシュを配る行為は、弁護士の業務広告に関する規程(平成12年3月24日会規第44号)に違反するかどうかは、実は、殆どの弁護士が判っていないと思われます。この弁護士広告規程は、平成12年に弁護士業務広告解禁として決議されたもので、私は平成9年6月業務改革(当時は業務対策)委員会委員に拝命された当初から、この弁護士業務広告解禁規程作りのプロジェクトチームに所属して立案作業の一部を担当してきました。

○当時の業務対策委員会広告PTは、横浜弁護士会所属エキスパート弁護士を座長に10名弱の委員で構成されていましたが、3年以上の期間をかけて「弁護士の業務広告に関する規程」(広告規程)全文と「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針」(広告規程ガイドライン)の立案を担当しました。1ヶ月1回の頻度で開催される業務対策委員会本会議終了後に各PT会議を2時間程かけて開催し、どこまで解禁すべきかについて激論が繰り返されました。

○問題になった事項は多々ありますが、弁護士が該当で不特定多数の人にチラシを配り、あるいは、ティッシュを配る行為は許されるかどうかという点も激論テーマの一つにでした。当時、一般企業では、該当ティッシュ配りは盛んに行われていましたが、弁護士がこれをやることは、いかがなものか、品位を害する行為ではないかとの見解が多数を占め、私もその見解に与していました。

○広告規程では、特に重要な事項だけを規制の対象として明文化するも、街頭でのチラシやティッシュ配り等具体的な広告行為の規制については、広告規程ガイドラインで解説することにしましたが、街頭でのチラシ配り関しては、ガイドラインに「(5) 屋内又は屋外で広告物を配布する行為
 屋内又は屋外で広告物を配布する行為のうち,不特定多数の人達が出入りする屋内又は街頭,駅頭,道路等の屋外で通行人等不特定多数の人に広告物を配布する行為は,弁護士の品位又は信用を損なうおそれがあると解される場合がある。」
と規定されており、「弁護士の品位又は信用を損なうおそれがあると解される場合がある」と曖昧な記述になっています。これは一律禁止は無理であろうと敢えて曖昧にしたように記憶しています。

○また街頭ティッシュ配りについては、当時、すでに実施している事務所があり、広告規程第7条第7条(有価物等供与の禁止)「弁護士は、広告の対象者に対し、社会的儀礼の範囲を超えた有価物等の利益を供与して広告をしてはならない。」との規定での「有価物」にティッシュが該当するかどうかも議論になったと記憶しています。しかし、ガイドラインを見ると「テレホンカードを依頼者に平常供与し,又は街頭で不特定多数の人に交付することは許されない。 」との記述はありますが、「ティッシュ」の記述はありません。これもすでに実施例があることなどから、敢えて曖昧にしたのかどうか、記憶がありません(^^;)

○街頭ティッシュ配りについては既に相当数の実施例があると聞いていますが、これが広告規程違反として規程第12条により調査を受け、中止命令を受けたなんて例も聞いたことがなく、事実上黙認されているように思われます。




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