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升田純教授判例時報連載”弁護士の取引をめぐる裁判例”紹介序の口1

平成26年 1月 6日(月):初稿
○元裁判官で平成9年5月に第一東京弁護士会に弁護士登録をして、平成16年4月から中央大学大学院法務研究科教授をされている升田純氏が、判例時報に「現代型取引をめぐる裁判例」との表題で、「第一時代の変貌と取引の変化」(1638号)から始まる連載記事を掲載しています。

○「第十二弁護士の取引をめぐる裁判例」は「1近年の弁護士の業務の諸相」との表題で、329回目(2185号)から始まり、判例時報2201号で連載340回を数え、「第十二弁護士の取引をめぐる裁判例 2」が掲載されています。「1近年の弁護士の業務の諸相」は、「近年、判例時報等の法律雑誌に弁護士の過誤等の弁護士の取引をめぐる裁判例が掲載されることが増加しているように思えるが、どうであろうか。」と始まっています。

○升田純教授の判例時報連載記事弁護士の取引をめぐる裁判例は、329回目から340回目まで12回の連載記事には、相当数の弁護士の業務に関する取引をめぐる紛争の裁判例を詳細に紹介されています。これらの裁判例を熟読して、法的観点のみならず様々な角度からの検討・分析をすることが、今後弁護士業務を積極的に展開するにおいては重要と思われ、今後、私の備忘録として紹介していこうと思っております。

○先ず連載340回目の記事で、従前は依頼者にとっても相当の覚悟が必要であった依頼者から弁護士に対するクレームが、その心理的障害が低くなって増えていることが指摘されています。そして、「近年は、依頼者らのクレームを意識しているかどうかは明らかではないものの、弁護士は、依頼者に対する説明を丁寧に行い、事務処理後の報告は迅速、詳細かつ丁寧に行っているし、出来る限り依頼者の意向を汲んだ内容、方向で事務処理を努めているものが多い。」と記述されています。

○この「弁護士は、依頼者に対する説明を丁寧に行い、事務処理後の報告は迅速、詳細かつ丁寧に行っているし、出来る限り依頼者の意向を汲んだ内容、方向で事務処理を努めているものが多い。」との傾向は、司法改革以前の弁護士殿様商売時代には、余り意識されていなかったように思います。私自身は、独立して数年以内、今から30年近く前から、事件事務処理の報告は、原則として、各期日毎に書面で行い、かつ、事務処理で授受した書面は原則として全部その都度、依頼者にコピーを送付するよう努めてきました。

○しかし、今では当たり前と思われているこのやり方は、10~20年前までは、珍しいと評価されていました。大方の弁護士の意識としては、「弁護士に任せたら、後は、弁護士が必要なときしか依頼者には連絡しない」とのやり方が当たり前だったからです。そこで依頼者には、弁護士の依頼したけれども、サッパリ、連絡がなく、処理状況がどうなっているかサッパリ判らないと言う不満を持つ方が多く居たと感じています。正に殿様商売でした。

○しかし、升田氏の分析では、「事務処理後の報告は迅速、詳細かつ丁寧に行っている」例が増えているとのことで、弁護士のサービス業としての自覚が、広く行き渡ってきたことが示されています。これは依頼者即ちお客さまにとっては大変有り難いことであり、弁護士もサービス業者である限り、本来当たり前のあるべき姿でした。この本来当たり前のあるべき姿でなくても、弁護士稼業が商売として成り立ってきたのは、私の言うところの①独占・②寡占・③競争排除の三大特権が弁護士に与えられていたからです。

○それが司法改革の美名の下、いずれの特権も大方排除されつつある結果、依頼者にとっては、サービス業者の本来のあるべき姿に変わったのであり、司法改革の大成果と評価すべきものでしょう。依頼者・お客さまにとっては、合格者数削減等この司法改革の後退を目論む弁護士の企みは到底許されないと覚悟すべきと思っています。
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