平成25年12月 4日(水):初稿 |
○ある交通事故事件の医学的見地の意見を求めたとき、「医師の世界はヒエラルキーですから」と言われて、某大学医学部某教室元トップの某名誉教授で某大病院の名誉院長の書いた保険会社側意見書に対する反論意見書作成を断られ、その世界の理不尽さに嘆き悲しんだことがあります。某県では医学部は国立大学一つしかなく、個人病院の果てまで「唯一の医学部であることをいいことに地元医療界を牛耳ってきた」との状況が何とかならないのかと、しみじみ感じました。 ○30年来の私の愛読書の一つ「選択」2013年12月1日発行第39巻第12号に「抵抗勢力の妨害で実現は『微妙』私欲渦巻く東北『医学部新設』」との興味ある記事が掲載されています。「選択」の宣伝サイト記事は、 「今の動きを現時点でストップできる力はない」とここまで記載されていますが、続きを読むにはご購読が必要と案内されています。 ○以下、この記事についての私の備忘録です。記事全文を読みたい方はご購読お願い申し上げます(^^;)。 ・設置される医学部のうち1校は宮城県に設置されることが決定済み ・「最大の反対派は東北大学。唯一の医学部であることをいいことに地元医療界を牛耳ってきた」 ・従前から県や地元財界から医学部設置要望があったが、特権的地位維持のため東北大学医学部が、山形大学医学部・岩手医大も動員してなりふり構わぬ反対工作を継続 ・東北大に対し批判の声を上げ、新規医学部設置に手を挙げているのが仙台厚生病院の目黒泰一理事長 ・目黒氏は、心臓カテーテル手術を専門とする内科医で、その腕前は「東北一」とされ、仙台厚生病院の2012年度循環器系疾患患者数は全国2位の8000人 ・目黒氏は、自らの母校東北大について「競争力がなく、権力に胡座をかいている」と批判-東北大学にとっては「度し難い存在」 ・仙台厚生病院医学部新設パートナーは東北福祉大で、このまま目黒氏が新規医学部を作れば東北大を頂点とする地元医療界にとって「最悪の事態」 ・東北大一派に対する援軍として、地元医療界が目黒氏に対抗すべく焚き付けた高柳元明理事長率いる東北薬科大学が旧・東北厚生年金病院をパートナーとして登場 ・東北大学医学部の面々は、「どうせ止められぬなら目黒がやるよりまし」と東北薬科大学に肩入れ ・2校が立候補すれば選考になり、東北大が後押しすれば、文科・厚労省に顔が利くため東北薬科を有利にすることも可能 ・候補選考を長引かせ、その後に行われる設置認可審査を長期化して、開学を遅らせ、厚労省が医師供給過剰になると予測する2020年以降に研修医登場となれば、医学部新設が不要と見直される可能性があると東北大が画策-逆転の目あり ・自らの権威に固執する東北大学医学部を筆頭に日医や厚労省は相も変わらず自分たちのことだけで、議論のどこにも「患者」と言う言葉は出て来ない ○以上、あくまで「選択」記事の要約であり、私の個人的意見は、一切入っていません(^^;)。 しかし、特権的地位維持に汲々とするのはどこの世界でも同じことは、公知の事実です。特権的地位を奪われた弁護士の多くが特権的地位の回復を叫んでいますが、今の世情では相手にされないでしょう。医師の世界も弁護士同様、特権的地位維持を見直すべきは当然です。たとえ医師過剰と言われようと、心底「患者」本位に考えてくれる多くの医師の登場を待ちたいところです。 勿論、今でも、心底「患者」本位に考える数少ない医師がいることを付言します。 以上:1,767文字
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