平成25年 7月27日(土):初稿 |
○後記の「横浜弁護士会:中小企業への格安顧問紹介制度 内部反対で試行延期」とのニュースを見て、みなさん、ご苦労されているなと実感しました。数ヶ月前、横浜のある弁護士さんと話す機会があり、横浜は事件が激減しているけれども仙台はどうですかと質問されました。おそらく横浜より仙台の方が大変と思いますよと答えましたが、仙台は震災関連の事件が増えていないんですかとも質問されました。 ○他の弁護士は判りませんが、当事務所に関しては、震災発生時から現在に至るまで震災関連のお金になる仕事は殆どありませんと答えました。震災関連無料相談は一時多数ありましたが、最近は殆ど震災関連の相談すらなくなっています。これは当事務所だけか、ほかの事務所も同様なのかは検証していないので判りません。 ○数年前まで業務の一定割合を占めていた多重債務・過払金返還請求事件も、最近は殆どなくなりました。それでも大手弁護士事務所・司法書士事務所の多重債務・過払事件取扱宣伝TVCMは、一時よりは減っても、まだ流されていますので、少しは残っていると思われます。少し残っていても大手事務所に根こそぎ持って行かれて一般事務所に来る事件は殆どなくなっています。 ○このような状況で、弁護士業務拡張を目指して月額5000円顧問の売り込みは営業努力として評価出来るものです。対象も個人事業主、従業員5人以下の法人に絞っているのであれば既存の顧問契約をしている弁護士の仕事を奪うことにもならないと思われます。しかし、それでも出席者30名の常議員会で決議出来なかったのは、相当の反対意見があったからでしょう。 ○おそらく弁護士会として提唱する月額5000円の顧問料が弁護士報酬全般のダンピングに繋がることを恐れる会員が多かったものと思われます。弁護士会としての営業活動でどれだけ顧客開拓に繋がるか疑問もありますが、私自身は、仙台弁護士会館完成後、しばらくの間、法律相談センターにお客さまが列をなしていた経験から、会としての営業活動も一定の効果があると思っております。 ○ただ、企業法務を殆ど取り扱っていない私には、企業の顧問獲得はそのメリットを相当説得力ある説明が出来ないと厳しいだろうなと思っております。日弁連業務改革委員会では数年前から中小企業対策PTを立ち上げ中小企業無料相談会種々の営業努力をしていますが、どれだけ効果があがっているかいまいち判りません。事業者のニーズの把握と弁護士が出来ることの明確化が必要と思っております。 ***************************************** 横浜弁護士会:中小企業への格安顧問紹介制度 内部反対で試行延期 神奈川 毎日新聞 2013年07月12日 地方版 横浜弁護士会の執行部が中小零細企業に格安で顧問弁護士を紹介する制度の試行を計画したところ、会内部から「個々の弁護士の業務を圧迫する」と反対が相次いでいる。法律家を身近に感じてもらうとともに、若手弁護士の仕事確保も狙った全国初の取り組みだったが、今月からの試行予定が延期される事態になっている。 新たに導入しようとしたのは、県内の個人事業主や従業員5人以下の法人を対象に、最大3人まで弁護士を紹介し、顧問料を相場の10分の1程度の1人当たり月額5000円程度にする制度。顧問内容は1カ月で3時間以内の法律相談や簡単な書面作成としていた。 利用者の負担を減らすとともに、中小企業の借入金返済を猶予する中小企業金融円滑化法が期限切れとなって倒産の増加が懸念され、地元企業への支援という目的もあった。 同会の会長、副会長ら執行部で試行を決定したところ、内部から反対意見が相次ぎ、常議員会で議論することになった。11日の会合では「大企業ばかり相手にしている顧問弁護士のイメージを変え、業務の開拓につながる」「個人の努力で顧問料を安くしている弁護士もいるのに、制度化は強引」などと、出席者約30人の賛否は分かれ、結論は出なかった。 一部で報道されたため複数の個人事業主から問い合わせがあり、同会は回答を保留しているが、今後も同様の対応をする。前田康行副会長は「制度に期待していた個人事業主や市民の方には申し訳ない。きちんと議論して答えを出したい」と話している。【飯田憲】 . 以上:1,756文字
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