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弁護士業務広告規程ガイドライン(運用指針)全文紹介3

平成25年 4月24日(水):初稿
○「弁護士業務広告規程ガイドライン(運用指針)全文紹介2」を続けます。
ここで、私は、「広告の本質は過度な期待を抱かせることであり、これを規制することは自己矛盾とも言える」とズバリ記載しました。
広告は宣伝と一体となって使われますが、世界大百科事典 第2版での解説は、
こうこく【広告】
 一般に広告は,商品(有形の商品のみならず,サービスやアイデアを含む。商品としてのアイデアは,コンピューター・ソフトその他,取引の客体となる着想や構想をいう)に対する需要を喚起・維持したり,これを提供する企業,その他の組織体(たとえば国や地方公共団体の営む事業組織)自体に好意をもたせることを目的として,情報を提供したり説得したりするメッセージを,新聞やテレビその他の有料の媒体により,買手や利用者に送達するプロモーション活動をいう。

せんでん【宣伝 propaganda】
他人の考え方や行動を自分に有利な方向に誘導するために行う情報活動で,不特定多数の相手に向けて行う場合が多い。宣伝の起源は明らかではないが,言語の発生と同時に人間はなんらかの宣伝行為をしてきたと思われる。自分が望ましいと思うことに他人を同調させようとするのは,もともと人間の本能に根ざす行為の一種だといってもいいであろう。動機や目的の違いによって,宣伝は批評,報道,教育などの情報活動と区別されているが,実際には報道や教育という名の宣伝もあれば,宣伝の形をとった批評もあって,その境界は必ずしもはっきりしていない。


とされています。

○弁護士業務広告規程第3条では、禁止される広告として
一 事実に合致していない広告
二 誤導又は誤認のおそれのある広告
三 誇大又は過度な期待を抱かせる広告

を挙げていますが、これは、自己の業務を他人に売り込み、顧客となって貰う事を目的とする宣伝・広告に必然的に伴う現象だからです。

○「交通事故 弁護士」とのキーワードでGoogle検索をかけると約449万件の弁護士HPが出て来ますが、交通事故専門弁護士のオンパレードで、「自称」交通事故専門弁護士の当事務所HPは、ページを何枚めくっても出て来ません(^^;)。
弁護士業務広告規程ガイドライン(運用指針)全文紹介2」で紹介した「(2)誤導又は誤認のおそれのある広告(第2号)」には、以下の広告を禁止しています。
ア 交通事故の損害賠償事件の件数を,損害賠償事件取扱件数として延べ件数を表示し, あたかも損害賠償事件全般について習熟しているかのような印象を与える表現
例 過去の損害賠償事件取扱件数○○件航空機事故はお任せ下さい。
イ 他の事件を例として掲げ,その例と同じような結果をもたらすと思わせるような表現
例 交通事故で1億3000万円を獲得しています。あなたも可能です。
ウ 弁護士報酬についての曖昧かつ不正確な表現
例 割安な報酬で事件を受けます


○当事務所HP「交通事故事件弁護士費用と取扱例等」にもひっそりと記載していますが、過去の取扱事例をトップページに掲載し、当事務所に依頼すれば獲得金額が保険会社提示金額の数倍になりますとの情報を強調する例が殆どです。おそらくこの情報が顧客誘因に最も効果的と考えるからです。上記ガイドラインでは「ア 交通事故の損害賠償事件の件数を,損害賠償事件取扱件数として延べ件数を表示し, あたかも損害賠償事件全般について習熟しているかのような印象を与える表現」は禁止されていますが、交通事故取扱事件だけを掲載すること自体は禁止していないようにも読める曖昧なものです。

○交通事故取扱を強調するHPは、殆どが「交通事故に強い弁護士」、「交通事故弁護士」、「交通事故部門主任弁護士」、「交通事故専門○年」、「交通事故は○○に」、「交通事故の専門家」、「交通事故○○」、「交通事故相談プロ」と交通事故事件についての専門性を強調しています。顧客誘因が目的ですから当然の結果です。

○しかし、弁護士業務広告ガイドラインでは以下の通り、専門、スペシャリスト,プロ,エキスパート等専門性を強調する宣伝・広告を「現状ではその表示を控えるのが望ましい。」としています。
弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針(ガイドライン)
第3 規程第3条によって規制される広告
2 広告内容で規程第3条上問題となる例
(中略)
(11) 専門分野と得意分野の表示
ア 専門分野は,弁護士情報として国民が強くその情報提供を望んでいる事項である。 しかし,現状では,何を基準として専門分野と認めるのかその判定は困難である。 弁護士として一般に専門分野といえるためには,特定の分野を中心的に取り扱い,経験が豊富でかつ処理能力が優れていることが必要と解される。ところが,専門性判断の客観性が何ら担保されないまま,その判断を個々の弁護士にゆだねるとすれば,経験及び能力を有しないまま専門家を自称するというような弊害もおこりうる。

 したがって,客観性が担保されないまま「専門家」,「専門分野」の表示を許すことは,誤導のおそれがあり,国民の利益を害し,ひいては弁護士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあることから,現状ではその表示を控えるのが望ましい。専門家であることを意味するスペシャリスト,プロ,エキスパート等といった用語の使用も同様である。

 なお,現実に「医療過誤」,「知的財産関係」等の特定の分野において,「専門家」というに値する弁護士及び外国法事務弁護士が存在することは事実である。しかし,弁護士間においても「専門家」の共通認識が存在しないため,日本弁護士連合会の「専門」の認定基準又は認定制度を待って表示することが望まれる。

イ 「得意分野」という表示は,その表現から判断して弁護士の主観的評価にすぎないことが明らかであり,国民もそのように受け取るものと考えられるので許される。しかし,主観的であれ得意でないものを得意と表示することは事実に反する表現と認められるおそれがある。したがって,豊富な経験を有しない分野については,「積極的に取り込んでいる分野」や「関心のある分野」という表示の方が,正確かつ誠実である。

ウ 「取扱い分野」,「取扱い業務」という表示は,専門等の評価を伴わないので許される。
○このように業務広告ガイドラインでは「客観性が担保されないまま『専門家』,『専門分野』の表示を許すことは,誤導のおそれがあり,国民の利益を害し,ひいては弁護士等に対する国民の信頼を損なうおそれがあることから,現状ではその表示を控えるのが望ましい。」とされていますが、実際広告例は、交通事故に限らず、離婚、相続、多重債務等各分野の実質専門表示HPが殆どです。「専門」と言う言葉を使おうが使うまいが、実質はその分野の専門だと言うことを強調しない限り、広告の本質目的顧客誘因を達成出来ません。かと言ってこの規制を外すと専門家表示競争が一層熾烈になることは目に見えています。難しいところです。

以上:2,849文字

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