平成25年 4月16日(火):初稿 |
○「有料弁護士紹介制度禁止と営業行為との関連論点提示1」を続けます。 ・友の会組織設立請負は許されるか、対価として会費の一定割合を支払うことは許されるか 例えば会員事業経営者として○○法律事務所友の会組織を設立し、会費月額3000円程度にして、会員は一定回数無料相談、セミナー無料受講等の特典をつけ、会費の一定割合の対価でこの組織運営全般を任せることなどは可能か、 との論点を提示しましたが、これはこのような友の会設立は、あくまで弁護士自身が自己の名義で行うことは言うまでもありません。 ○弁護士でないものが、このような友の会組織を作ることに関しては、「条解弁護士法第2版」530頁に以下の解説がありました。 一定の入会金や会費を支払って会員となった者には、その他のサービスと併せて、無料で法律相談に応ずるとしたり、弁護士を無料で紹介するといった組織を作った場合、当該組織を作った者に「報酬目的を得る目的」があるといい得るか、である。と解説され、限りなく違法である如く解説されています。 ○このような友の会組織は、弁護士以外の者がその名義で行う場合は、弁護士法第74条(非弁護士の虚偽標示等の禁止)2項「弁護士でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。」に違反する可能性が高いと思われます。しかし、ネット上にはこのような組織がチラホラ見られます。このような組織での無料相談を担当する弁護士は、弁護士法第27条(非弁護士との提携の禁止)「弁護士は、第72条乃至第74条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。」に違反する可能性が高いものです。 ○しかし、弁護士自身が自己の名義で行うことは問題ないと思われますが、このような組織の設立、会員勧誘等の企画・活動は、普通の弁護士には最も苦手な分野であり、弁護士業務を抱えながら、自ら行うことは困難です。所員或いは事務員として雇用し、この友の会設立・運営業務をさせるのは全く問題にならないでしょうが、問題は請負として第三者に任せる場合です。その対価の支払方法として一定の固定金額ではなく、集めた会員数或いは会費総額に比例配分した場合は、現在の考え方では相当問題視されるでしょう。 ○しかし、私自身は、「広告料を売上比例制とすることを禁止する理由雑感」に「一般経営においては、仕事を紹介されたら紹介料を支払うことは当然の如く許されています。弁護士が、①独占、②寡占、③競争排除の三大特権手厚く保護されていた時代は、とっくに過ぎ去りました。この三大特権を前提とした弁護士法第72条は見直すべきに来ており、この規定文言そのものは改訂しなくてもその解釈は、柔軟に考えるべきと思います。せめてHP広告料金がクリック数比例は許されるが売上比例は許されないとの固定的解釈に固執する姿勢の変更を考えても良い」と考えております。 以上:1,465文字
|