平成25年 3月16日(土):初稿 |
○「大阪弁護士会”インターネット法律相談事業関与規則”等紹介」の続きです。 ここで紹介した規則、ガイドラインでの考え方が、弁護士法第72条について伝統的で標準的なものと思われます。しかし、ネットでの弁護士紹介サイトの実態はこの伝統的・標準的考え方だけでは判断が困難なものが相当現れています。 最も問題になるのは、紹介サイトへの対価の決定方法で、 ①完全定額制、②クリック数比例制、③問合せ数比例制、④売上比例制 があり、大阪弁護士会規則・ガイドライン「広告料は、一定のスペース上への情報掲載料のように客観的かつ定額的に算出されなければならない。客観的かつ定額的とは、登録期間とスペースなどで、その算出過程が明白かつ客観的に明らかになることを指し、必ずしも不変的な額を指すものではないが、ウエブサイト事業者の裁量が入りやすいコンサル的な名目の広告料の授受は、周旋の対価との区別を曖昧にするもので、ウエブサイト事業者らの脱法的行為に手を貸す恐れが強く、許容できない。」、「着手金や報酬に一定率をかけて広告費を算出する算定基準は、法律事務処理の対価を一部にせよ支払うもので、『周旋』の対価性を否定することができず、許容できない。」」との説明文から推測すると①はOKですが、②・③は疑問であり、④は完全に弁護士法第72条違反と言うのが現在の考え方と思われます。 ○上記の②方式は、リスティング広告と呼ばれ、IT用語辞典e-Wordsによると リスティング広告【listing advertisement】と解説されています。 ○③の方式は、アフィリエイト広告と呼ばれ、IT用語辞典e-Wordsによると アフィリエイト【affiliate】と解説されています。 ○アフリエイト広告は、前記③問合せ数比例制、④売上比例制の両方を含むようですが、大阪弁護士会規則・ガイドラインの基準からすると④は明確に、③は限りなく、単なる広告ではない違法な「周旋」に該当すると評価されそうです。しかし、実際にはこのような弁護士紹介サイトが既に現れ、規制はされていないようです。 ○弁護士は、①法律業務独占、②少数者による寡占、③競争排除(広告禁止・統一料金)の三大特権に守られて殿様商売をしていたものが、この10数年の司法改革によって殆ど特権を剥奪されました。この特権回復の運動もありますが、広く国民の支持を得ることは先ず無理と思われます。これらの特権を前提とした弁護士法第72条の解釈は大きな曲がり角に来ていると理解すべきでしょう。 以上:2,065文字
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