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弁護士業務についてのセカンドオピニオン-お客様の希望

平成23年10月27日(木):初稿
○「弁護士業務についてのセカンドオピニオン-結構難しい?」を続けます。
事件を受任中のお客様側で他の弁護士の参加を希望した場合について
平成2年廃止旧弁護士倫理では、「依頼人が他の弁護士の参加を希望するときは、理由なくこれに反対してはならない。
」、
平成17年廃止弁護士倫理では、「弁護士は、事件について依頼者が他の弁護士の参加を希望するときは、正当な理由なくこれに反対してはならない。」
と規定されていたところ、
現行弁護士職基本規程では
「弁護士は、受任している事件について、依頼者が他の弁護士又は弁護士法人に依頼をしようとするときは、正当な理由なく、これを妨げてはならない。」
と規定されています。
条文の体裁としては、
弁護士倫理時代は他の弁護士の参加希望に「反対してはならない。」とされていたものが、
弁護士職務基本規程では、他の弁護士への依頼を「正当な理由なく、これを妨げてはならない。」
と字句修正されています。

○この規定は、他の弁護士へ単に相談としてセカンドオピニオンを求めるに留まらず、その事件の共同受任まで求める場合の規定であり、いずれにしても、これを「反対してはならない」、「妨げてはならない。」とされています。これらの規定からは、単に相談に留まるセカンドオピニオンをお客様が求めることは、現在受任中の弁護士側としても認めるべきことを当然の前提としています。

○私自身は、32年の弁護士生活で、受任中のお客様から、直接、他の弁護士も参加させて欲しいと希望されたことは記憶にありません。おそらくお客様は、そのように思っても現在受任中の私に気兼ねして言い出しかねたものと思われます(^^;)。お客様側にしても一般に現在受任中の弁護士に他の弁護士も参加させて欲しいと伝えることは、受任中の弁護士1人では頼りないと思っていることを明らかにするに等しく、なかなか、言い出しにくいと思われます。

○また、弁護士側としても、セカンドオピニオン相談は受けても、現在受任中の弁護士が居るところ、その弁護士と一緒に受任して欲しいと要請されても、その弁護士に対する気兼ねもあり、且つ、他の弁護士が引き受けた事件を途中からその弁護士と共に受任することは相当やりづらい面があり、お断りすることが多いと思われます。私自身、他の弁護士受任中の事件にそのお客様の要請で途中参加した経験はありません。但し、先に受任していた弁護士自身から、そのお客様了解の元、途中参加を要請されて参加したことは複数回あります。この場合、先の弁護士に対する気兼ねが全く必要ないからです。

○ですからお客様側としては、現在依頼中の弁護士に加えて、他の弁護士にも事件受任参加を希望される場合、現在依頼中の弁護士にその希望を話され,その弁護士自身からお客様が参加を希望する弁護士に対し、参加を要請して貰った方が、スムーズに共同参加が実現すると思われます。この場合、現在受任中の弁護士は,前記弁護士職務基本規程「(他の弁護士への依頼を)正当な理由なく、これを妨げてはならない。」規定によりこれを拒否することは出来ないからです。

○なお、「自由と正義」2005年臨時増刊号解説では、これを妨げる「正当な理由」とは、「参加してくる弁護士との間に事件処理について著しい意見の相違が予見されて、事件処理に当たることが困難であるとか、弁護士間の協議に時間を要し、そのため迅速な処理に支障を来すなど、依頼者に不利益を及ぼすおそれがあるような事情を言う」と解説されています。
以上:1,439文字

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