平成23年10月24日(月):初稿 |
○セカンドオピニオンとは、二次意見或いは補完意見などと訳されることもありますが、医療分野では現在はごく一般的に行われています。しかし、弁護士の分野ではどうかというと、地方に行く程、敬遠されているのではと思われます。 私が弁護士になったのは昭和55年ですが、その当時は、他の弁護士の法律業務に関する相談は、事実上禁止されていました。例えば、仙台市役所等公的機関での無料法律相談で、相談中に既に他の弁護士に依頼している事件は相談してはならないとされており、相談途中で、他の弁護士に依頼中の事件と判明した場合は、直ちに打ち切るよう指導されていました。 ○私自身、弁護士経験5年にも満たない時点で数回他の弁護士が受任中の事件の相談を受け、弁護士の世界では他の弁護士が受任中の事件は相談は受けられないのですとお伝えして相談をお断りしたことが何度かありました。どうしても相談したいときは、その弁護士への依頼を止めて、その弁護士との関係を完全に清算してからお出で下さいとお伝えしていました。 その根拠となる旧弁護士倫理規定は以下の通りです。 平成2年廃止旧弁護士倫理規定 第18条 弁護士は、他の弁護士の受任している事件に介入しようと策してはならない。 依頼人が他の弁護士の参加を希望するときは、理由なくこれに反対してはならない。 平成17年廃止倫理規定 第47条(他の弁護士の参加) 弁護士は、事件について依頼者が他の弁護士の参加を希望するときは、正当な理由なくこれに反対してはならない。 第48条(他の事件への介入) 弁護士は、他の弁護士が受任している事件に介入しようと策してはならない。 ○上記2つの倫理規定は、いずれも「弁護士は、他の弁護士の受任している事件に介入しようと策してはならない。」と他の弁護士の受任している事件に介入してはならないと介入を禁じているように指導されました。表現としては「策してはならない」とされているのですが、既に他の弁護士が受任している事件の相談を受けること自体が「策する」に該当する如く認識されていたようで、事実上のセカンドオピニオン禁止でした。しかし、以下の弁護士職務基本規程では、「不当に介入してはならない。」と規定され、「不当」でなければ介入しても良いと、条件付きでセカンドオピニオンが条件付き承認されました。 ○それまでのセカンドオピニオン禁止の姿勢は、弁護士の殿様商売意識の最たるものであり、弁護士自身、依頼されているお客様が、自分に依頼している事件について他の弁護士に相談にいくなんてとんでもないと考える方が多かったものと思われます。しかし、弁護理倫理に代わって平成17年4月1日から施行されている弁護士職務基本規程のセカンドオピニオン関連規定は以下の通りです。 第40条(他の弁護士の参加) 弁護士は、受任している事件について、依頼者が他の弁護士又は弁護士法人に依頼をしようとするときは、正当な理由なく、これを妨げてはならない。 第72条(他の事件への不当介入) 弁護士は、他の弁護士等が受任している事件に不当に介入してはならない。 ○この規定によって、他の弁護士が受任している事件でも「不当」でなければ介入しても良くなり、セカンドオピニオンも許される時代となりましたが、この規定が施行された平成17年当時は、まだ、セカンドオピニオンを売りにする事務所はなかったと思われます。ところが、平成23年10月現在、「弁護士 セカンドオピニオン」のキーワードでGoogle検索すると約32万件の関連HPが出て来て、HP宣伝でセカンドオピニオンを売りにする事務所もちらほら出て来ているのが判ります。しかし全部数えても10件あるかないか程度であり、弁護士3万人を超えた現時点としてはまだまだ少ないと思われます。 以上:1,554文字
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