平成23年 3月 2日(水):初稿 |
○司法制度改革とは、ウィキペディアでは、司法制度改革(しほうせいどかいかく)とは、日本において、1999年以来行われている司法制度全般に関する改革である。裁判制度、国民への司法サービス提供、法曹養成制度など多岐にわたる。と解説されています。 ○司法改革は、「国民への十分な司法サービスを提供するために、裁判の効率化や法曹界の人員の拡充などが必要」とするものとされています。この法曹界の人員の拡充については、現在の弁護士状況は、弁護士自身からすると、従前のぬるま湯的環境で殿様商売として十分に成り立っていた極めて恵まれた状況から、一変して厳しい過酷な環境に激変させられ、その善し悪しは別として、後記弁護士の地位を低下させるとの意味での「改革」としては大成功であったと評価できるでしょう。 ○年間500人前後しか合格しなかった平成2年までの司法修習生は、「金の卵」とも呼ばれて、就職市場は、正に売り手市場で、買い手は引く手あまたで、就職に苦労することは殆ど無かったものが、ここ2,3年は、司法修習生の就職市場は氷河期の始まりとも言われ,大変厳しい時代に変化しています。 ○それは合格者数が、500人から2000人と4倍増した結果であり、これを逆に言えば、現在の司法修習生の4人に3人は、500人時代であれば確実に司法修習生にはなれず、いまなお受験浪人を続けているか、或いは、法曹になることは諦め他の職種に進路を変えていたでしょう。この司法修習生にはなれない3人になるか、就職が氷河期と呼ばれて厳しかろうが、司法修習生になった方が良かったのかは、簡単には決められませんが、受験浪人を続けているよりは司法修習生になった方が良いに決まっています。また500人時代に合格できなかった3人の中から、500人時代でも合格できた1人より、国民の役立つサービス精神溢れた弁護士が誕生する可能性も大いにあると確信しています。 ○司法制度改革の美名の下、合格者数4倍増は、残念ながら裁判官、検察官の数にはには殆ど影響が無く、殆どが弁護士数の増加で吸収されており、弁護士の数だけが圧倒的に増えつづける結果になっています。この数が増えた弁護士についての改革は、それだけに止まらず、弁護士の最大特権とも評価できた「法律事務独占」権が、司法書士を初めとする隣接業種に分け与えられ、更に宣伝広告禁止・料金統一という競争排除の守りも崩され、弁護士業界は、司法改革の美名の下二重三重の打撃が加えられました。 ○法曹養成制度に関しては、法科大学院なんて、私から言わせれば何と無駄なとしか言いようのない制度が出来て、法曹を目指す若者の意欲を削ぐ要件が増え、その上に上記の通り弁護士環境の激変で、弁護士業界では「改革見直し論」が強く起こってきて、中には合格者数を2000人からせめて1000人に減らせなんて決議をする弁護士会も出て来ています。 ○しかし私自身は、20年以上前から言われてきた司法改革の実質は、これまでのぬるま湯環境での殿様商売横行の弁護士地位の低下、引きずり下ろしにあると認識していました。この改革は、弁護士にとっては辛いものですが、仕方のないことだともとも認識していました。随分前から、政治改革を初め、各種制度改革が謳われ実施されましたが、弁護士制度改革ほどドラスチックに実現した改革はないとも評価しています。勿論、その評価は痩せ我慢ですが、この痩せ我慢を通して精進を続けて行こうと思っております。 以上:1,572文字
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