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どう見ても負けそうな事件の相談に対する対処方法3

平成22年 8月13日(金):初稿
○「どう見ても負けそうな事件の相談に対する対処方法2」を続けます。
「どうみても負けそうな事件」と弁護士職務基本規程第29条3項での「依頼者の期待する結果が得られる見込みがない」事件は、表現が異なる通り、その意味も異なります。具体的にAのBに対する金500万円の工事代金請求権を例に取ると、BがAに全部で1000万円の工事を依頼し、完成後500万円は支払うも後の500万円を工事に不備があったとして支払を拒否していたとします。

○Aから工事残代金500万円回収の相談を受けた場合、Bの支払拒否理由について詳しく事情を聴取しても500万円相当の工事不備があったかどうかの判断はその工事の専門家ではない弁護士には困難です。しかしBの資産調査をして不動産には多額の抵当債務があり、その他多額の負債を抱えて、真実は支払能力がないため工事不備を理由に支払を拒否していることが可能性が極めて高い場合が良くあります。

○この場合、Aの依頼内容が「500万円回収」にある場合は、訴えを出して工事不備がないことが証明されて500万円支払を命じる判決を得てもその判決によって「500万円回収」実現可能性が殆どありません。判決で強制執行できる財産がないところからは取れないからです。ですからBに支払能力がない場合は、「500万円回収」のAの依頼は、「依頼者の期待する結果が得られる見込みがない」事件に該当し、「その見込みがあるように装って事件を受任してはならない。」ことになります。この場合私は「回収実現」については「負けそうな事件」と評価します。

○但し、Aの依頼内容が「500万円の支払を命じる判決の取得」だけであれば、工事不備が誰の目にも明らかで工事代金が500万円程度減額される可能性が高い場合を除いて、例え実際の回収が困難であっても、そのことをAに良く説明して受任することは可能です。税務処理や社内事務処理の関係で判決だけが必要になる場合もあるからです。ですから「500万円請求」の事件は目的によって「どう見ても負けそうな事件」になる場合もあり、ならない場合もあるのです。

○ですから同じような依頼でも、その依頼内容と最終的な目的を詳しくお伺いして、弁護士に依頼することでその最終的な目的の実現の可能性があるかどうかを良く吟味しなければなりません。その実現の可能性は、あくまで可能性であり、「実現出来る」と断定しての事件受任も出来ません。弁護士職務基本規程第29条2項「弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。」との規定があるからです。

○あれこれ述べてきましたが、「どう見ても負けそうな事件の相談」を受けた場合、単に「負けます。」と断定して終わりにするだけでなく、弁護士職務基本規程第29条2項と3項の趣旨、勝つ見込みがないのに勝ちそうに装うことは禁じられており、また、勝つことと請け負ったり保証したり出来ないことをよく説明して依頼をお断りすれば、相談者の納得に少しでも近づくことが出来ると思われます。

○依頼者の期待する結果が得られないと思われる事件について相談を受け、事件受任を申し込まれた場合、上記規程を説明し、その上で、お客様のご依頼の内容が実現される可能性は殆どありませんが、お客様が、小松弁護士は仕事がなくて困っているようなので、依頼内容実現が目的でなく、小松弁護士救済のためにご依頼されるというのであれば受任致しますがと言います。こう言って事件を依頼された例はまだありません(^^)。
以上:1,454文字

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