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事務員の育て方-並の弁護士以上に優秀な準備書面作成1

平成21年 6月27日(土):初稿
「事務員の育て方-詳細な準備書面作成準備作業」の続きです。この事件は、30年の私の弁護士生活で「事務員の育て方」の観点では最も印象に残る事件であり、いよいよ核心です。

○私は担当事務員が作成した鑑定比較一覧表を元に最終準備書面作成作業にかかり、先ずその起承転結等の構成を検討し、各小見出しを考え、いわば骨組みだけ作成しました。その骨組みの中身を記載する段になり、この中身作成は各鑑定書を熟読玩味し比較一覧表を作成した担当事務員にやらせた方が合理的と思い至りました。と言うのは、この担当事務員の方が鑑定一覧表作りのため私より遙かに長い時間をかけて鑑定書を熟読しており、その内容を私より深く理解しているからです。

○そこで私は、担当事務員に対し、ここまでやったので、どんなに時間をかけても良いから納得いく詳細な準備書面を作成するよう指示ました。するとこの事務員は、自分が作った比較一覧表を参照しながら更に鑑定書を読み込み、ジックリ時間をかけて準備書面作成に取りかかりました。

「ある遺言無効確認事件の顛末-筆跡鑑定あれこれ3」に「鑑定対象文字の一つに『橋』がありました。この『橋』をじっくり観察している内に、第5画『ノ』の書き方が、正しい書き方向は右上から左下に向かうものであるところ、鑑定対象の『橋』の第5画『ノ』は、左下から右上に向かって書かれていることが判明しました。」と、如何にも、私自身が、この「『橋』の第5画『ノ』」の書き方向誤り癖を発見した如く記載しましたが、実は,この大発見をしたのも私ではなく、この担当事務員でした(^^;)。

○「かように珍しい書き方向について、4鑑定いずれも全く触れていません。」と記載しましたが、実は、最後に当方依頼者が、正に大枚をはたいて鑑定依頼したD鑑定だけは、全ての鑑定文字の書き方向が矢印で記載されており、この書き方向も把握していました。ところが、この鑑定書には、書き方向を矢印で記載しただけで、この点が、遺言書も同じ書き方向で、特殊な書き方即ち「逆送筆(一字画が常用漢字字体と反対の方向に運筆されている状態)」であることの説明が全くありませんでした。

○この最も重要な点についてプロのD鑑定士すら意識していなかったのです。D鑑定は、大枚を取っただけあって、おそらくやるべきことはやっていたのですが、その説明がまるで簡単すぎて薄っぺらなものでした。ですからこの鑑定書を裁判官に読んで欲しいと伝えただけではその重要な指摘が裁判官に伝わりません。そこで準備書面でこれを強調して詳しく解説して補充し、裁判官にシッカリと伝えたのです。裁判官には、「裁判官はしつこく説得を-萬年浩雄弁護士著作から」記載の通り「これでもか、これでもか」と言う精神でしつこく伝えなければなりません。
以上:1,147文字

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