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法科大学院の危機的状況-入学した学生が気の毒

平成21年 6月16日(火):初稿
「法曹養成制度について参入再規制要請決議相次ぐ」で埼玉、栃木と相次いで弁護士会が司法試験合格者数を1000人程度に減少させるべきとの提言決議をしたことを紹介しましたが、法科大学院が早くも危機的状況になっているとのニュースも流れています。

○先ず後記平成20年9月10日毎日新聞アンケート調査結果のニュースですが、法科大学院の当初予定定員総数は「15~20校で4000人程度」で合格者数が3000人とされ、4000人の内3000人即ち75%が合格するとの計画でした。しかしこの75%合格という数字は、最初の1年目に限られるものです。4000人の内3000人合格であれば、毎年1000人の不合格者が出て、その不合格者が後2回は受験できますので、2年目、3年目と受験者が増え、合格率75%が維持できるはずがありません。

○ところが実際は74校もの法科大学院が設立され、その総定員は5765人になり、司法試験合格者数も平成20年で2209人で合格率は30%程度に留まっています。日弁連が平成20年8月には当面合格者数現状維持と思われる提言をし、更に上記の1000人に減らせなんて提言もなされ、当初予定通り平成22年から3000人合格が実現するかどうかは怪しくなっています。

○平成22年で旧司法試験が終了し、平成23年から司法試験予備試験が始まり、おそらく優秀な学生は法科大学院に行かず司法試験予備試験で受験資格を取得するであろうとの予想もあり、多くの法科大学院は、益々厳しい状況に追い込まれることは目に見えています。入学した学生さんが気の毒な状況になりそうです。

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法科大学院に危機感 教育能力に見合う改革必要--毎日新聞アンケート
2008年9月10日(水)18:00

 法科大学院の4割が総定員数(約5800人)削減の必要性を回答した毎日新聞のアンケートは、一定水準の合格率という「実績」を維持できない各大学院の危機感を浮かび上がらせた。だが、実際に定員を見直す法科大学院は一部にとどまる。法科大学院を巡っては「質」も問題視されており、教育能力に見合った改革が求められる。

 法科大学院の総定員数は導入時「15~20校で4000人程度」だった。背景には、司法試験合格者を年3000人に増やす政府の方針と、「合格率7~8割」の目安があった。だが、「大学の法学部に優秀な学生を集めたい」とする経営戦略も絡んで74校に増え、「司法制度改革の理念と乖離(かいり)する」(改革に携わった自民党国会議員)との批判も出始めた。法務省幹部は「多くの大学院が質の低い学生しか送り出せない現実が問題だ」と指摘する。

 また、法科大学院では学部との兼任教員が依然多く、修了認定も甘いなど養成機能が問題視されている。一方「外車1台分」とも言われる学費が優秀な学生を除外する要因となり、奨学金制度の充実を求める声も上がる。

 優秀な法曹志望者を獲得する趣旨を考えれば、一定の定員維持は必要だ。だが、大量の司法試験不合格者を生み出している現状は、法科大学院が養成機関としての機能を十分に果たしておらず、多くの志望者を不幸にしていると言わざるを得ない。【石川淳一】

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法科大学院、司法試験の合格率低いと廃止も?
[教育動向]斎藤剛史 2009/06/15 10:00:00

法科大学院の見直しを検討していた中央教育審議会の特別委員会はこのほど、最終報告をまとめました。その中で、入試倍率が低い法科大学院の定員を削減することを打ち出しています。これにより2010(平成22)年度から法科大学院の再編が進むことになりそうで、法学部の志願動向にも大きな影響を与えることは必至です。

(中略)

定員削減はあくまで「自主的」なものですが、多くの法科大学院が、2010(平成22)年度からの定員削減に向けて、検討に入っているようです。既に東京大学と京都大学の法科大学院が、それぞれ2010(平成22)年度に定員を削減することを決めています。両大学は定員割れや競争倍率の低下などとは関係ないのですが、増えすぎた法科大学院の定員を減らすという大きな流れのなかで、定員削減の先導的役割を担おうとしているものと思われます。
いずれにしろ、「日本版ロースクール」として鳴り物入りで創設された法科大学院は、来年度に大きな曲がり角を迎えることになりそうです。
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