平成21年 4月21日(火):初稿 |
○「弁護士業務における訴訟事件の意義等雑感」は、中途半端に終わったままですが、その中で「弁護士もお客様と同じ目線に立って主観的思い込みで事件を処理しようとしたら解決には至らず,紛争をいたずらに激化させるだけになります。」、「ですから訴訟においても、弁護士は出来るだけ思い込みを排除して事件処理に当たらねばなりません。」と記載していました。 ○この記述をより具体的に表現している著作が見つかりました。これは日本経済新聞「活躍した弁護士ランキング」4年連続ランクインの鳥飼重和弁護士著作「『稼げる』弁護士になる方法」146頁の記述です。鳥飼弁護士は、独立開業後、税法を専門分野の一つにし、税務訴訟を手がけるも当初7,8年は全戦全敗で、裁判を続けていくうちに、負ける理由の大半が自分にあり、勝訴をさまたげた敵は、自分自身だったことに気づいたとのことです。 ○鳥飼氏は勝訴を勝ち取る極意を次のように述べています。 「裁判官を説得するには、裁判官の視点に立って証拠を集め、弁論しなければなりません。それができてなかった。納税者の視点だけで物を見ていたのです。 判決の内容は裁判官が決めるのだから、裁判官の審理を知らなければ勝てるはずがなかったのです。裁判官はどのように考え、どのように判断するかを知る。そうして裁判官の心を動かして初めて、勝訴が勝ち取れるのです。」 ○鳥飼氏は「裁判官の立場で考えられるようになると、勝つ裁判の方が多くなりました。」とも述べていますが、この「裁判官の立場で考えられるようになる」には、やはり多くの経験が必要で、当初の7,8年の全戦全敗について反省する過程で徐々に「裁判官の立場」が見えてきたと思われ、これが見えるようになるまでの相当の努力の継続が必要です。 ○しかしこの「裁判官の立場」を意識するとしないとでは、実際裁判の対策、主張の組立、証拠の集め方が相当違ってくるはずです。私が感じている「弁護士は出来るだけ思い込みを排除して事件処理に当たる」ことが、この「裁判官の立場」を強く意識することからはじまります。 ○弁護士は、紛争の一方当事者から弁護士費用を受け取り依頼されますので、その依頼者の利益を確保するのが一番の任務ですが、この目的を達するためには、公平なレフリーの立場にある裁判官ならどう判断するかということを強く意識することの重要性を、シッカリ噛み締めたいと思っております。 この部分の記述に限らず鳥飼弁護士の「『稼げる』弁護士になる方法」は大変勉強になる記述が多く、徐々に私の備忘録として紹介したいと思っております。 以上:1,064文字
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