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日弁連機関誌「自由と正義」-涙もろさの理由

平成20年12月21日(日):初稿
○日弁連(日本弁護士連合会)の機関誌「自由と正義」の2008年11月号「ひと筆」に鹿児島県弁護士会会員Aさんの「涙もろさの理由」と言う表題の記事が掲載され、大変印象に残りました。私の備忘録として紹介します。私自身、どちらかというと涙もろい方で、映画を見ては良く涙を流し、Aさんの記述に共感したからです。ここ数年の記憶では、ツルカメスタジオでDVD版「ショーシャンクの空に」を観たときラストシーンの感動で止めどもなく涙が出てきて困りました。

○年齢と共に涙もろくなる例も多く、その仕組みは老化により大脳の前頭葉に最も速く機能低下が起こり、感情抑制のコントロールが十分に出来なくなり、その結果、涙もろくなるとの説明があるそうです。しかしAさんはこの説明に反発され、老化により感情抑制コントロールが出来なくなるとすれば怒りやいらいらという感情も抑制が効かなくなるはずだが、若いときに比べてその面での感情抑制は出来るようになっていると言います。

○私自身温厚篤実で滅多に大声を上げることはないと自称していますが、人間自己に甘く他に厳しいの原則通り、他の方々からは必ずしもそのようには評価されていないようにも感じます(^^;)。しかしそんな私でも10年前に比べれば少しは丸くなってきているように感じ、Aさん同様涙もろくなるのは前頭葉の機能低下とは思いたくありません。

○Aさんは涙ももろくなる理由を前頭葉機能低下説に納得せず色々調べて、「長い人生の中で積み重ねられた様々の経験が,他人の痛みや苦しみ、その置かれた境遇への理解を育んでいくそのため年齢を重ねると,人間性が深まり、他人の出来事を自分のことのように共感することができ、涙を流す。」との説明に出会い、この説明に救われたと言います。

○弁護士業務はお客様にその紛争等を解決するための法的サービスを提供することです。この法的サービスの最も重要なことは、お客様の抱える紛争に法を適用し、その解決方針を立てることです。Aさんは、長い間お客様に対し、その言い分が法的に認められるか否かを判断し,認められないと判断したら事務的にその旨を回答するとのスタンスだったそうで、多くの弁護士も同様です。

○しかしAさんは、弁護士経験を積み、お客様の言い分、立場、境遇を理解し、共感できるようになってきて、紛争解決のためには、法的結論のいかんにかかわらずお客様の言い分を理解、共感し,受け止める姿勢が大事だと強調されます。私自身も弁護士20年目頃から、「最近、思うのは、法律は確かに紛争解決の一基準ではありますが、最終的な紛争解決の鍵は『人の心』にあるということです。」をキャッチフレーズにしています。Aさんの文章を読んで、これが単なる空念仏にならないよう一層努力・精進すべきと思った次第です。
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