平成20年11月27日(木):初稿 |
○「弁護士増員反対論に対するある社長さんの批判」に記載したある社長さんのご意見に対しては、あくまで推測ですが,相当割合の弁護士は反発を感じるものと思います。しかし、私自身は鋭く的を射たものが多く、大変耳が痛い意見と思っております。「常識を共有できてない感じ」なんて言われると私のことではないかと恥じ入る次第です。 ○そのご意見の中で「気にくわない仕事は全部断ると言うではありませんか」と言う部分がありますが、私自身も、来た事件はなるべく断らないで受けるようにしているつもりでも、どうしても断る場合が時々あります。それは説明しやすい方から行くと次のようなケースです。 ①ご依頼内容が私自身の不得意分野である場合 ②ご依頼内容が、法律・裁判例上適法なものであっても私自身の信念・価値観・世界観等に反する内容の場合 ③そのお客様のご説明が信用できず、信頼関係を築くのは困難或いは不可能と思う場合 ④そのお客様とはどうも相性が悪いな、衝突しそうだなとの思いを強く感じる場合、 ○①の不得意分野のご依頼をお断りするのはプロとして十分なサービスを提供できないので当然のことであり、この場合は出来る限りその分野を得意とする弁護士を紹介するようにしています。 ○②については、具体例を挙げると先ず交通事故加害者側の事件があります。私は交通事故被害者側の権利確保のお手伝いをしたいと思い、被害者側に有利な学説・判例等の勉強を継続し、多くの交通事故事件を処理しておりますが、加害者側にたった場合、こんどは加害者側に有利な学説・判例に従って行動しなければならず、依頼者の立場に従って利用する学説・判例等を使い分けることは二枚舌を使っているように感じて潔しとしないからです。 ○①の次の具体例としては,夫婦のいずれかの不貞行為の相手方即ち間男・間女?に対する請求があります。私はこのHPで繰り返し述べておりますが、家庭学校論・家庭戦場論の立場の帰結として間男・間女?無責任説の立場に立っており、間男・間女?に対する請求については相談には応じますが、事件の依頼は原則としてお断りしています。私自身の価値観に反する仕事になるからです。これらの場合も出来るだけ他の弁護士を紹介するようにはしています。 ○弁護士業務はあくまでビジネスであり、それぞれのお客様にとって有利な現行法律・判例・解釈論を駆使して、法的サービスに努めれば良いのだから、仮にその法律解釈がその弁護士自身の価値観や世界観に反するものであってもビジネスと割り切ってそのお客様のために利用すべきとの考えの方がおそらく一般的と思われます。しかし、不器用な私にはその割り切った使い分けが出来ず、無理に自己の価値観に反する仕事を業務と割り切って行うのはそのお客様に対する不誠実に当たると思い,原則としてお断りしています。 以上:1,159文字
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