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首都圏弁護士仙台進出-弁護士競争時代実感

平成20年11月 5日(水):初稿
○岡口裁判官ブログのボツネタ経由で知りましたが、平成20年11月2日河北新報に記事で首都圏の弁護士が仙台に進出して大規模広告で多重債務相談を募り、これに対し地元仙台の多重債務者支援団体が、宮城県内の法律相談を止めるようにとの要請文を送ったとの記事を見ました。その記事を末尾に引用します。

○この記事は、弁護士競争時代へ入ったことを実感させてくれましたが、驚いたのは「新聞折り込みで約15万枚のチラシを配り」と言う点でした。15万枚のチラシを作り且つそれを新聞折り込みするのに経費はどのくらいかかるのでしょうか。

株式会社朝日オリコミ名古屋折込広告料金表によるとA4一枚で1枚当り2.5円(消費税別)かかりますので、15万枚のチラシ新聞折り込み料だけで消費税込みで約40万円でチラシ一枚作成費用が一枚3円として45万円、更に相談会場費や担当弁護士の出張旅費等を合わせれば100万円以上の費用がかかるものと思われます。

○それで相談者が20名訪れ内半分の10件の多重債務事件を受任したとしても、おそらく過払案件が相当数あると思われますので、最終的には経費を上回る利益を上げることが可能でしょう。普通の企業であればこれくらいの営業・広告費を出して最終的に利益を確保するのは当たり前のことですが、これまでの仙台あたりの普通の弁護士の感覚では事前に100万円も営業経費を出して事件集めをするなんてことはおよそ考えられませんでした。私だけの古い感覚かも知れませんが。

○この首都圏弁護士の仙台進出に対し地元多重債務者支援団体がストップを要請したとのことですが、その理由「費用対効果を優先させて勝てる訴訟だけを弁護するケースが増えると懸念」が、首都圏弁護士に対し説得力を持つだろうかと、ちと疑問に感じた次第です。

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需要開拓×利益優先 首都圏の弁護士進出 仙台
11月2日6時13分配信 河北新報

 消費者金融の過払い債務者らからの相談や受任方法などをめぐり、首都圏と仙台など地元の弁護士との間で対立の溝が深まっている。首都圏の弁護士は法律相談やテレビやラジオのCMなどを使って、地方の債務者の掘り起こしに懸命だ。首都圏弁護士の進出に、地元組からは「手軽で利益につながる仕事だけを引き受けることにつながり、倫理上、望ましくない」との声も上がっている。

 東京のおおぞら法律特許事務所は10月26日、仙台市青葉区で、過払い金の返還請求を柱とした法律相談を開いた。担当の弁護士が、多重債務などに悩む県内の約20人の相談に応じた。同事務所は相談開催前に、宮城県内でラジオCMを流したほか、新聞折り込みで約15万枚のチラシを配り、相談者を広く募った。

 会場を訪れた県内の男性(42)は「ラジオで相談のことを知った。過払い状況にあるかどうかや返還手続きの方法などを教えてもらい、ためになった」と話した。

 東京の法律事務所オーセンスは7月から、過払い金返還や任意整理などの手続きを受け付けるテレビCMを、東北地方で流し始めた。同事務所は「東北は全体的に弁護士過疎で、債務整理の需要もある。CMで困っている人の需要を掘り起こしたい」と強調する。

 こうした動きに、宮城県内で多重債務者らを支援する「みやぎ青葉の会」は10月中旬、東京の法律事務所に、県内での法律相談をやめるよう要請文を送った。地元に事務所がないと、費用対効果を優先させて勝てる訴訟だけを弁護するケースが増えると懸念したためだ。

 青葉の会会長の菊地修弁護士は「多重債務者の中には綿密な打ち合わせが必要な人もいる。経済原理を優先させれば、救済が必要な人が見捨てられる道義的な問題も生じかねない」と説明する。

 弁護士による業務広告は2000年10月、日弁連の会規改定で解禁された。利息制限法と出資法の上限差「グレーゾーン金利」を事実上、無効とした06年1月の最高裁判決を契機に、過払い金返還に関する広告が増え、潜在的需要がある東北にも広がった。

 仙台のある弁護士は「過払い金の返還請求は自己破産手続きに比べ手間が掛からず、最高裁判決後は特においしい仕事になった。需要の掘り起こしは大事だが、楽に報酬を得ようとする手法が透けて見える」と漏らした。

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