平成19年10月25日(木):初稿 |
○岡口裁判官のボツネタ経由ですが、週間法律新聞1019号3面によると関東十県会の全国弁護士アンケート調査で弁護士の55%が司法試験の適正な合格者数は1000人以下と考えていることが判ったそうです。 ○司法試験合格者数は、平成2年までは500人時代と言われて、500人前後に留まっていましたが、それ以前から合格者数増加の声が起こり、平成3年に初めて600人を超えてから徐々に増え始め、平成11年に至り初めて1000人を超えました。 ○このアンケート結果では、弁護士の半分以上の方が平成11年以前の合格者数に戻すべきと考えていることになります。3000人合格者を前提に法科大学院が数多く誕生し、平成19年法科大学院卒業者司法試験結果は、「第2回目新司法試験合格発表」記載の通り、「受験者数4607人のうち合格者数は1851人で、合格率は40.1%」でしたから、合格者を1000人以下にしたのでは、平成23年までは旧司法試験合格者も居ますので、合格率は20%以下になります。 ○法科大学院が乱立した今になって合格者数を1000人以下にすることは、到底、実現出来ないことでしょうが、多くの現役弁護士が1000人以下に留めるべきとの感想を持っていることは人情としては自然と思われ、私自身、本音を言えば合格者数は少ないに越したことはないと思っております。 ○それは合格者が増えれば商売敵が増え、商売がやりづらくなる、今までのような殿様商売は、到底続けられなくなることが当然であり、この当然のことを出来れば避けたいと思うのは人情でしょう。先日、岩手県のある支部の弁護士と久しぶりに仙台高裁の法廷で相手方代理人として会い、お互いに久しぶりですねと挨拶を交わし、裁判官が来るまでの間、雑談を交わしました。 ○先生の居る支部管内にも弁護士が増えているのではないですかと聞くと隣の支部管内の2つの支部をエリアとする公設事務所が出来てしばらく経過したが、その公設事務所の弁護士と裁判で手合わせをしたことが一度も無いとのことでした。その近辺はいわゆる弁護士過疎地と思われている地域ですが、さほど弁護士が忙しく働いてないとの印象でした。 ○世間一般で言われている弁護士需要と弁護士自身が感じる弁護士需要には相当の差があり、多くの弁護士はさほど弁護士需要がないところに大量に弁護士が供給されるこれからどうなるのだろうと不安を抱えています。しかしそんな不安は、一般国民の目から見たら、甘いも甚だしいと糾弾されるでしょう。 ○これまではごく少数で法律事務を独占していい思いをしてきたんだから、これからは他の普通の事業者と同様、競争にもまれてサービスに努めなさいと言うのが今回の司法改革に伴う弁護士人員増加であり、これを従前に戻すことなど、一般国民の目からは、到底、許されないでしょう。 今後の競争時代、何とか生き残れるよう工夫と努力だけは続けていこうと思っております。 以上:1,201文字
|