平成19年 2月14日(水):初稿 |
○近年の司法制度改革では法曹人口の大幅増加策が取られて、平成19年には2000数百人が弁護士資格を与えられるはずですが、「弁護士志望5人に1人就職できず」に記載したとおり、早くも弁護士就職難が確実視されています。 ○平成18年版の弁護士白書によると、現在2万2000人の弁護士は、10年後の平成29年に現在の倍以上となる約4万7000人に、30年後の49年には9万5000人を超えると予想され、この過剰法曹人口吸収策として日弁連は、「1人で事務所を経営している弁護士の方へ」なるパンフレットを配布し、その中で「ノキ弁」を勧めて、これが法曹関係者ブログ等で話題になっています。 ○「ノキ弁」とは「軒先を借りる弁護士」の略称です。「イソウロウ(勤務)弁護士」の略称である「イソ弁」程ポピュラーではありませんが、今後、「ノキ弁」が増えそうです。イソ弁の場合は、定額の給料を貰って仕事をするのが原則ですが、ノキ弁の場合は、単に事務所に置かせて貰いその事務所を自分の事務所として登録するだけす。 ○ノキ弁は、給料は貰えませんが、自分で事務所を準備する必要が無く、独立費用がかからないと言うメリットがあり、ノキ弁を置く方でも、定額の給料を支払う必要が無く、忙しいときは事件を回して実質手伝いをして貰えるメリットがあるとして、日弁連はノキ弁を勧めています。 ○私もかつてイソ弁希望司法修習生に、机と椅子は提供するが給料は支払わないので、自分の食い扶持は自分で稼ぐこと、その上で事務所事件はガッチリやって貰うと、机と椅子を提供するだけでこき使うと言う厳しい条件を提示して、事実上、イソ弁採用をお断りしてきました。 ○私としては、この条件提示はジョークのつもりでしたが、ある時その条件でも良いので雇って下さいと本気で申し込まれて面食らい、それ以来、このジョークは言わなくなりました。私が一人事務所を維持しているのは、「事務所拡大志向全くなし」が最大の理由ですが、加えてイソ弁を採用すると気を遣う人が増えることも大きな理由でした。 ○事務所では3名の常勤事務員と2名の非常勤事務員に気を遣い、家に帰れば妻子に気を遣い、この上、イソ弁にまで気を遣ったのでは、人一倍他人に気を遣う性格の私は気疲れで死んでしまうのではとの危惧が強く、この危惧がイソ弁を取らない一番の理由でした(^^;)。 ○このような理由の場合、いくらノキ弁を勧められても、採用する気には全くなりません。しかし50代半ば過ぎて老化を意識し始めた最近は事務所承継の観点からイソ弁なりノキ弁なり、居た方がよいかなとも思い始め、その形態を如何にするかあれこれ思索するようになってきました。 以上:1,097文字
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