平成18年10月14日(土):初稿 |
○「弁護士はお金持ちか否か-弁護士収入実態」で日弁連発行弁護士白書2004年版弁護士センサス集計をご紹介して、「おそらく全国弁護士平均の収入(経費控除前の総売上)は3500~4000万円前後、所得は1500~2000万円程度ではないかと思いますが、この数字は、金持ちと評価すべきかどうかは意見の分かれるところでしょうね。」と記載しておりました。 ○ところが東洋経済2006年10月7日号で「日本人の全給料」をテーマとする特集を組み、「これが給料相場だ!全就業者6000万人の時給を徹底比較」の「当世時給番付トップ15」として全職種中弁護士が時給1万0402円でトップと記述されていました。ちなみに医師は4985円で11位で、2位は航空機パイロットの8226円です。意外なところでは大学教授が6位の6196円、助教授でも4691円で15位でした。 ○この当世時給番付の作成方法は、時給は「年収÷年間総労働時間」とし、そのデータは、業界(業種)、職種毎の厚生労働省平成17年賃金構造基本統計報告を、また上場会社は有価証券報告書から取って計算したもののようです。 ○弁護士以外の各士は、不動産鑑定士が35位で3543円、公認会計士・税理士が40位で3429円、一級建築士が85位で2427円、社会保険労務士が92位で2325円でしたが、司法書士、土地家屋調査士、行政書士が見あたりません。 ○厚生労働省平成17年賃金構造基本統計報告をネットで見てみると「職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額のエクセルファイル」が掲載されており、これをダウンロードして桐化してみると、各士の分野では弁護士、不動産鑑定士、公認会計士・税理士、社会保険労務士しか記載されていません。 ○そのため司法書士、土地家屋調査士、行政書士のデータが得られず記載されなかったと思われますが、これでは「日本人の全給料」には値せず、「全就業者6000万人の時給を徹底比較」との触れ込みがいかがわしいものに思えてきます。 ○しかし時給1万円以上は弁護士だけで2位のパイロットとの差は2000円以上もあり、少なくとも現時点では弁護士は平均的に見れば経済的に恵まれた職種と見られているようです。記事では弁護士は「リスクは試験の不合格だけだ。その賭にさえ勝てば、高額の生涯所得が保証されるに近い」と結論づけられていましたが、私の感想としては、決してこのような記事を鵜呑みにしてはいけないと言うことです。 以上:1,031文字
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